異国の料理

このところ、料理に凝っています。

日本の料理としては、(以前にも紹介しました)庭の柿の葉を使った柿の葉寿司を作って初夏の味を楽しみ、また今年は朴の葉を使った朴葉寿司も作ってみました。

他にも、アイルランドやスコットランドの素朴な郷土料理やお菓子を作ったり、ヨーグルトを使ったトルコ料理に挑戦してみたり……。

 

特によく作ったのは、モロッコ料理でしょうか。クミンやパプリカなどを使ったモロッコ風の味付けがなかなか好みであることに気が付いて、また文化的・地理的にも面白そうな国だと思っていたこともあって、「それならまずは、お国の味から親しくなろう!」と思ったのです。そのあと結局、バブーシュ(モロッコの革製スリッパ)も買いましたが。

さっそく、図書館で見つけてきたモロッコ料理の本から作ったのは、オレンジとニンジンのサラダ、ベルベル風オムレツ(スパイシーなトマトソースに半熟の目玉焼きが載っている料理)、モロッコ風のミートボールの煮込み(タジン)や、フライパンで焼く手軽なパンなどなど。

そうそう、春巻きの皮にツナやアンチョビ、刻んだパセリなどをのせて、三角形に包んで揚げた料理もありましたっけ。インドの「サモサ」にも似たこういう料理は、本当に色んな文化圏にあるのですね!見つけるたびに感心してしまいます。

 

そういえば、モロッコ料理の本を読んでいて気が付いたことがあります。それは、材料に「豚肉」が出てこないこと。考えてみればすぐわかることですが、やはり宗教的タブーなのでしょう。

特定の食材を“神聖だから”、あるいは“不浄だから”と、宗教的な理由によって食べないという風習は、頭ではわかっていても、そういったタブーに馴染みの薄い国に暮らしている私にはなんだか不思議に思えます。宗教的意識や配慮に乏しいこの国に暮らす外国人の中には、ハラルのような食材の入手に苦労する人もたくさんいること、また悪気のない無理解に出くわす人も多かろうということだけでも、せめて心にとめておきたいものだなと思いました。

 

海外旅行に行けないと思うと余計に海外への興味が増すようで、気が付けばここ数年は小説もほとんど海外のものばかり読んでいます。読んでいた本に出てきて知った料理を再現するのも、また楽しいものです♪

トルコ料理も、主人公が歴史学者の父と一緒にあちこち旅をする本を読んでいたころに作りました。ちなみに、トルコ料理はオスマン帝国の支配とともにヨーロッパへも広く伝わり、いま我々が「洋食」だと思っている料理のルーツが実はトルコだった!なんてものがいくつもあるそうです。例えばなんと、ロールキャベツもハンバーグもそうだというのですから驚きです。

 

ちょっと前になりますが、100年ほど前のチベットが舞台になったコミックを読んで、見た目は小籠包にそっくりな「モモ」という料理や、大麦粉をお茶とバターで練った主食(バター風味のきなこ棒といったところ)を再現してみたりもしました。

チベットは中国ともインドとも文化圏が重なるので、料理にもその影響が見られるのが興味深いところ。「モモ」は見た目こそ小籠包ですが、中身にはスパイスが色々と入っていてどこかカレーを思わせ、たれもスパイシーで複雑な風味。外見とは全く違う味わいに驚くも、それがまた新鮮。未知の料理を作って新しい味に出会うのは、本当にワクワクする体験です。まだ作ったのは数回で、あんを綺麗に包めないのが悔しいですが、いつか得意料理の一つにして、親しい友人にでもご馳走してみたいところです。「ね?初めて出会う不思議な味だけど、美味しいでしょう!」なんて言う自分が容易に想像できて、笑ってしまいます。

この次は、作中でとても美味しそうに描かれている揚げたての「シャパレ」というミートパイも再現してみたいですし、ああ、そういえば遠出をした場面で、即席の籠に入れて焚火で蒸しあげていた蒸しパンも美味しそうでした……チベット料理にもまだまだ作ってみたいものがたくさんありそうです。

 

小説を読んでは料理の描写に目を光らせ、図書館で世界のあちこちの料理を紹介した本を借りては未知の料理への興味を募らせ、あれこれレシピを調べて、比べて、料理する楽しさ!

もはや、コロナで自由に外出もできない中での最高の気分転換のひとつとなっています。作って楽しく、もちろん食べておいしく、そして思い出にも残る……考えてみると、料理というのは日々消えていくものでありながら、案外奥深いものでもあるようです。

毎度の食事を凝りに凝るわけにはいきませんが、ときどきは凝った料理や変わった料理も作って腕を上げ、コロナが収束したあかつきにはぜひ、会わない間に増えたレパートリーで友人をもてなして、豊かなひとときが過ごせたらいいなと願っています。

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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (火曜日, 06 7月 2021 17:49)

    どこにも行けないのでBSの紀行番組を見て、イギリスのミステリーを読み心を海外に飛ばしています。外国の料理を作る事は歴史や文化を知ることになって一石二鳥。美味しくて楽しい。

  • #2

    さっちー (月曜日, 02 8月 2021 21:57)

    奈々先生に教わった 柿の葉寿司。葉っぱがもう少し大きくなったら作ろうと思うばかりで、、。図書館から借りてきた異国の料理を、作るなんて、流石です。あー、やっぱりトルコ行きたーい。その前に、11月 熊野古道 語り部さん付きツアーに行って来ます。うふふ。1人参加です。

  • #3

    nana (月曜日, 09 8月 2021 10:57)

    ボッコちゃん>>
    ミステリを読み始めたころは目的が違いましたが、私も今はトリックや犯罪心理よりも異国の文化や風土に興味を持ちがちです(笑)その国の料理を作ったりすると、より親近感が沸いて、本もさらに楽しくなりますので、一石三鳥かな?

    さっちーさん>>
    柿の葉寿司、あえて紅葉した葉で作るのもオツらしいですよ。とはいえ、だんだん育つにつれて葉が固くなって包みにくいので、うちではやはり初夏の味ですが。葉っぱが必要な時はいつでもおっしゃってくださいね♪

    熊野古道、私も一度歩きたいと思っている道です。語り部さん付きというのも興味深いですね。
    サンティアゴ・デ・コンポステーラという、フランス・スペインを通るキリスト教の聖地への巡礼路もいつか歩いてみたい憧れの道です!