日本では雛祭りに桜餅やひなあられを食べたり、大晦日に年越しそばを食べたりと、イベントや暦に合わせた食べ物があります。
そしてもちろん外国でも、やはり、その国ならではのお祝いの日があり、その日に食べる料理やお菓子もちゃんと(?)あるわけです。
たまに、外国の料理が載ったレシピ本やその国の食文化についての本を読んでいると、よくそんな記述が出てきて、食いしん坊で知りたがりの私などは、
「ほほう、この国にはこんな祝祭があって、こんなものを作って食べるのね!」と好奇心をくすぐられます。
そして、作ってみたのがこちら。ごく一般的なものからマイナーな地方菓子まで、イギリスのお菓子を山ほど紹介している本(『イギリス菓子図鑑』羽根則子著)に載っていたお菓子です。その名も、ソウルケーキ!
「ケーキ」という名前がついていますが、レーズン入りのシンプルなクッキーで、生地を丸く抜き、ナイフで十字の模様を刻むのが特徴です。
そこで、「ソウルって、魂のこと?お菓子なのに物々しくない?」とか「なぜわざわざ十字架を??」などという疑問が浮かんでくるのですが、実はこのソウルケーキはハロウィーンの2日後の『死者の日』に食べるお菓子なのだとか!
日本ではハロウィーンと言えば10月31日の一日しか知られていないようですが、Halloween(ハロウィーン)という言葉は
All Hallows’ Eve(オール・ハロウズ・イヴ。諸聖人の日の前日)から来ていて……つまり、クリスマスとクリスマス・イヴのように、イブ(前日)があるなら、イブの翌日は「当日」であるわけです。
なので、実はハロウィーンには続きがあり、
10月31日がAll Hallows' Eve(All Saints' Eveとも。つまり Halloween )
11月1日がAll Saints' Day(万聖節。全ての聖人を祝う、諸聖人の日)
11月2日が All Souls' Day(万霊節。死者の日)
となります。この3日間を合わせてAll Hallow Tideと呼び、殉教者・聖人・亡くなったキリスト教信者たちを弔う期間となっているそうです。
私も2日目までしか知らずにいたのですが、実は実は3日目があったと知り、ちょっとワクワク。別にこんなことを知ったからといって何かが変わるわけではないのですが、それでもやはり、新しいことを知るというのは楽しいものです。
そして、うきうきとレシピを写して11月まで待ち、ようやく作ってみたというわけです♪
イベントに合わせたお菓子にしてはシンプルで地味なクッキーですが、その素朴な味と見た目こそがこのようなイベントにはふさわしく思えてきます。リッチ過ぎない素朴なお菓子の良さを感じながら、アイルランドのハロウィーンに思いを馳せました。