柿の葉寿司

あっという間に青葉の季節となりました。例年、この時期は春愁にとらわれがちで、それもまた春の風情の内だと思っていたのですが、なんだか今年はセンチメンタルに浸るひまもなく、気がついたらもう辺りは初夏の景色でした。

 

この時期は、野山も庭もどんどんと様変わりしていきます。ちょっと前まで、ペリドットのようにつややかな黄緑色した、初々しい若芽を吹かせていた柿の木も、もう立派な若葉をつけています。まだ夏の葉に比べると厚みが薄くてしなやかな葉ですが、大きさはもう一人前に近くなってきました。

柿の葉がこんなふうになってくると作りたくなるのが、柿の葉寿司です。「そうそう、これを待っていたのよね!」と、ご機嫌になって若葉を摘みます。

 

柿の葉寿司にはたくさんの柿の葉を使いますが、せっかくなので剪定を兼ねて、内向きの枝や、枝が混みあった部分についた葉を活用します。何十枚もの葉を集め、洗って拭けば、葉の用意は終わり。

ご飯は堅めに炊いて、お酒をかけて蒸らします(酢飯にはしません)。参考にしている檀晴子さんのレシピでは中塩の荒巻鮭をネタに使っていますが、うちではしめさばやスモークサーモンなどを薄切りにしたもので手軽に作っています。

 

ご飯が冷めたら、手水の代わりに酒を使い、塩をすこしつけて、握り寿司より少し大きめに握ります。そこに魚をのせて柿の葉でくるりと包み、桶に詰めていきます。寿司の下にも上にも柿の葉を敷き詰め、上から板などをのせて平らに押さえて、重しをして半日以上おきます。

2日くらいもつようですが、食べごろは翌日でしょうか。葉は食べませんが、お寿司には柿の葉の青い香りがほのかにうつり、味も香りもよく馴染んでいて美味しいです。

 

このお寿司は、あえて柿の照葉で作るのもオツなのだそうですが、うちではもっぱら初夏の味覚となっています。春一番にふきのとうなどの山菜を食べる時の、体が春を感じて目覚めるようなあの感覚に近いでしょうか。

強くなってきた日差しに向かって生き生きと伸びていく柿の葉で包まれたこのお寿司を頬張ると、体の中から青さが立ち、この時期の草木が持つ力強さを分けてもらえるような気がします。初夏の恵みに感謝です。

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コメント: 3
  • #1

    凹太 (月曜日, 20 5月 2019 03:54)

    柿は若葉が早く、今頃までなら遠くから見ても葉の色合いが他の木と違うのでわかります。それにしても季節を感じる一品はうらやましい限りです。ここは桃源郷と言えばその通りですが、一年中同じ気温のため桃が一年中成り、同時にいつも少しだけ桃の花が咲いています。のんびり住むには良い所ですが季節の移ろいが、懐かしいです。

  • #2

    ボッコちゃん (火曜日, 11 6月 2019 18:28)

    庭に柿の木があると春は柿の葉寿司、秋は実の収穫と2回楽しめるのがいいです。この柿の木は家を建てた時、注文してあったブルーベリーとラズベリーの苗木を植木屋さんが間違えて小学校に持って行ってしまったとかでお詫びにいただいた物でした。苗木は次郎柿で「富有柿より美味しいからね」と言われました。当初柿は植えるリストには入ってなかったのですがこの木のおかげでお楽しみが春、秋やってきてうれしいです。植木屋さん有難う。

  • #3

    さっちー (火曜日, 25 6月 2019 19:59)

    柿の葉寿司  こんなに美味しいとは驚きでした。見栄えも 最高�

    教えて下さって ありがとうございます。今日、マイ ガーデンから 柿の葉採って来たところです。しめさば ガリ ちりめんじゃこ 準備して 早速作りまーす。