旅日記~神戸~

北野にある、洋館を活かしたスターバックス・コーヒー。
北野にある、洋館を活かしたスターバックス・コーヒー。

お正月の記事を優先したのでお話が前後しますが。12月に神戸へ行ってきました!

春からずっと「旅をしたい」と言いながらも実現できず、11月になって「はっ、無理にでも行かないと今年が終わってしまう!」と焦り、とうとう宿と飛行機の手配をしたのでした。

 

今回も、前日の深夜に準備をし、早朝に羽田へ向かうというスケジュールになりました。しかも今回は始発電車で行かないと間に合わない時間です。

冬の4時台起床はつらいものがありますが、なんとか起きだして支度をします。さすがに朝ごはんは食べられませんが、ミルクティーを少し飲んだら、ぼんやりしていたピントが急に合ったように世界がくっきりと認識され始めました。

寝た気がしないのに動き回らなければならないこんな時でも、いつものように私を元気づけてくれるのは、やはり一杯の濃い紅茶!しゃきっと目が覚めた私は、しっかりとマフラーを巻いてまだ真っ暗な夜の中へと歩き出し、始発電車にも無事に乗りこみました。

 

そうして着いた久々の羽田空港ですが、楽しむ余裕もなく大急ぎで保安検査を受けて搭乗ゲートへ。タイトスケジュールなのはわかっていたのでドキドキしましたが、なんとか飛行機に間に合い、ほっとしました。

いつも思うのですが、飛行機だと本当にあっという間に目的地に着いてしまい、とても便利だけれど、旅情や旅の実感などが損なわれているような…。本当は新幹線くらいまでが旅に適した移動の速度なのかもしれません。とはいえ、窓から空や雲、はるか下の大地などを眺めるのはわくわくして本当に飽きないし、飛行機自体は大好きです。

 

 

一時間と少しで大阪に着き、そこからは電車で神戸市街へ向かいます。数年ぶりに降り立った大阪の街は、ざわざわと賑やかで活気があります。すれ違う人の雰囲気も東京より原色っぽくてパワフルで、大阪に来たと実感しました。

「そうそう、こんな雰囲気の土地だったな」と思い出しながら歩いていると、なんとなく自分だけ浮いているような気がしてきます。そして本当に浮いていることに気が付いたのは、エスカレーターの左側に立ってしまい、後ろから上ってきた人が私を避けたときでした。関東と関西でエスカレーターの追い越す側が違うことは知っているのに、関西に来るとつい何度かは反対に立ってしまいます。そして関西のマナーに慣れたころ、また関東へ帰ることになるのです。

 

乗り換えを何度かしてようやく神戸の街に着きました。

神戸の街は明るいグレーとベージュのすっきりとした建物が多い印象で、ビルの間にところどころ古びた西洋風の建物が残る町並みは、近代的ながらもどこかレトロな雰囲気。東京都心はやっきになって「現代」か「近未来」を志向している印象ですが、この町はあまり近未来に興味がなさそうで、それよりはむしろ、海外に開かれた港町であるという歴史に誇りを持っているように見えます。以前行った長崎でもそんな印象を受けましたが、長崎の方がおおらかで南洋の雰囲気があり、神戸の方が西洋的で都会風、そして横浜はさらに現代的、といったところでしょうか。

異文化が早く入った港町の、歴史や文化があって和洋折衷とりどりのところに興味があり、ここ数年は函館や長崎などを旅先に選んできました。旅をしてひとつひとつの街を知るのもいいですが、似た街にいくつも行くと、それぞれの街を比較できるという面白さがあります。

 

 

いつも、着いた日はまず歩き回って街を把握することにしているので、荷物を預けて身軽になるとすぐ、ぶらぶらと歩きだしました。そのうちビルの間を歩いていて海など見えなくても、強まっていく海風のおかげで自分が港に近づいているのがわかってきました。風はびゅうびゅうと吹き荒れて寒いほどでしたが、スマートフォンのナビなどでなく、あてにするのは標識くらい。少しくらい迷ったり無駄足を踏んだりして時間を食っても構わず、ただ目先の興味に身をまかせ、あとは風を体で感じてあたりをつけながら進むというのは、なんだかいい気分。

眺めが良さそうなところを探したり、目についた見慣れない植物を確かめに行ったりしながら、知らない街を気ままに歩き回っていると、周囲の情報がどんどん自分の中に入ってきます。

 

たとえば、この街のファッションは全体的に上品で、女性は自然な髪色のロングが多いこと。大阪はもっと主張が強くてジャンクな感じの若者が多かったですし、東京の黒やグレーを基調としたモノトーンで都会的な感じともまた違います。

モノトーンでも明るいグレーやベージュが多くて、都会的でおすましているけどどこかレトロな雰囲気があって……。「!これは町並みの印象とも重なるのでは?」と、ハッとしました。

街とそこに住む人との間にはお互いに作用しあう影響があり、それが街の雰囲気や特色、ひいては文化を作っていくのだろうと思うと感慨深いものがあります。もしかしたら、自分に合った街に住むことは非常に重要なことなのかもしれません。

 

 

また、歩いているとパン屋さんの多さに気がつきました。ヴェネツィア本島におけるお菓子屋さんほど頻繁ではありませんが、神戸の街を歩いているとパン屋さんをよく目にします。一軒一軒は小さい店舗が多いですが数は多く、にぎわっている様子。「美味しいのかな?」と横目で見ながら通り過ぎ、しばらく歩くとまた一軒見つける、という具合。

そういえばいくつもの全国チェーンのパン屋さんが、第一号店や本社を神戸に置いていますし、昔ながらの洋食屋さんを謳う店もたくさんあります。それも、港町だったおかげでいち早く西洋料理が伝わった結果なのでしょう。

 

そんなことを考えながら行き当たりばったりに歩き回っていると、普段の自分がいる世界が、外から入ってくる刺激に塗りつぶされてどんどん遠のいていきます。

知らない土地に潜り込む感覚。何者でもなくなって、ただの旅人になる感覚。知らないものを見たいという好奇心。

「そうそう、旅ってこうだった。こうなりたくて来たんだったわ」と嬉しくなります。

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コメント: 4
  • #1

    ボッコちゃん (水曜日, 06 2月 2019 21:28)

    米よりパンが好きです。パン屋さんが多い街、良いですね。「自分に合った街に住むことは非常に重要な事かもしれません」の言葉に強く心が反応しました。出来ることなら...あたりなんちゃって。

  • #2

    凹太 (土曜日, 09 2月 2019 10:56)

    確かに街によって雰囲気は変わりますよね。数年前に大阪に行った時、おばちゃんのにぎやかさからふと東南アジアの街を思い出しました。神戸はシックな感じですか。近く街でもずいぶん雰囲気が違うことがあります。歩かないと判りませんが、発見は楽しいでしょう。

  • #3

    さっちー (水曜日, 20 2月 2019 20:28)

    旅に出るまでの、臨場感がとても伝わって来ました。私も、12月、1人 北海道旅行行って来ましたよ。五感が研ぎ澄まされる感じ、たまりません。今年は、125cc の�️で、気ままに 1人旅 実行しまっせ。

  • #4

    nana (月曜日, 25 2月 2019 14:02)

    ボッコちゃん>> 自由業だけでやっていければ、本来どこに住んでもいいのだなと時々考えます。国内なら京都、神戸、長崎がいまのところ気に入っていますが、自分にとってベストの街に出会うのは難しそうです。でも、『魔女の宅急便』のキキのように、最初は美しいけれど冷たく感じてなじめなかったコリコの街が、いつしか「住めば都」になることだってあるのでしょうね。

    凹太さん>> 関西の方が、近い街でも雰囲気が違ったり、言葉が違ったりする気がします。旅行者の目からはそんな小さなこともいちいち新鮮です。

    さっちーさん>> 一人旅、わくわくしますよね!なんでも自分の責任で自由に決めていいという緊張感や身軽さ、そしてだんだんと日常が遠くなり五感が澄んでくるのも心地いいですよね。 これからはバイクという選択肢も増えて、ますます楽しみになりそうですね♪