コンサートのチラシ制作

原画。写真ではくすんでいますが、空はもっとさわやかな色合いです。
原画。写真ではくすんでいますが、空はもっとさわやかな色合いです。

コンサートのチラシ(兼プログラム)の背景を描かせていただきました。

 

ヴァイオリンとヴィオラのデュオという珍しい編成でのコンサートと聞いて、ヴァイオリンとヴィオラを画面の両端に配置する構図がぱっと思い浮かびました。やわらかで瑞々しいイラストにしたかったので、画材は水彩絵具にしました。

楽器はアンティークに見えるよう、木がすり減っているように描いたり、木目を描写するのも楽しかったです。

 

背景は空だけにしようかとはじめは思いましたが、せっかく海外から演奏者をお招きするのですから、ヨーロッパの風を吹かせたくなりました。

かといって、古城ではやりすぎですし、特定の街にしてしまうと見る人(今回は聴く人でもあります)のイメージが固定されてしまいます。

そこで画面の下の方には、どこというわけでもない、ヨーロッパの田舎をイメージしたイラストを入れることに。写真集や洋書からアイディアをもらいながら、森や街道、ラベンダーなどの花畑、石垣と放牧地などを好きなように構成して描き入れていきます。(羊の数が7匹なのはちょっとしたサイン替わりです)

もちろん、コンサートの情報の方が大切なので、イラストは目立ちすぎてもいけません。さりげなさが肝要です。

 

イラストが出来上がったら、スキャナーで取り込み、加工ソフトを使って文字を入れました。ここからはアナログ派の私には”アウェイ”の領域です。Photoshopやillustratorはまだ使いこなせているとは言えないので、冷や汗をかきながらおそるおそる編集。

 

途中で、「できたら弦をガット弦に替えてくれませんか」とご指摘が入りました。やはり演奏家、見るところが違います。大変ならそのままでも、とのことでしたが、せっかくアンティークの楽器なのに、現代の弦ではちぐはぐでもったいないので、修正を決意。

もうだいぶ編集が進んでいたので、原画はとりあえずそのままにし、画面上でだけガット弦に描きかえました。なれないペンタブレット(ペン状のマウス)で慎重に作業していきました。

そしてようやく出来上がったデータが印刷会社に回ったところで、私の仕事も無事終了!

 

完成したチラシの実物は手元にまだないのですが、私の心配をよそにかなり良く仕上がったようで、配った先でご好評をいただいていると聞き、嬉しく思いました。(早く実物が見たいものです!)コンサートも楽しみにしています。

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コメント: 5
  • #1

    凹太 (土曜日, 23 6月 2018 23:27)

    新しい仕事に挑戦していますね。こんなヨーロッパの町も見てみたいですが、コンサートも行ってみたいです。どんな曲が聞けるのでしょうか。余分な話ですが前に住んでいたアパートではサルサならOKですが、クラッシクを聞くと落ち着かないです。今のところは両方とも大丈夫です。考えてもなぜだかわかりません。

  • #2

    ボッコちゃん (日曜日, 24 6月 2018 08:01)

    どのような演奏者のコンサートだったのでしょうか?文字の入ったチラシも見たかったです。弦の変更を依頼するなどプロならではの視点に感心しました。学ぶことの多い仕事でやりがいあったね。

  • #3

    nana (月曜日, 27 8月 2018 22:52)

    凹太さん> コンサートは教会で行われました。(プロテスタントの教会なので宗教画や彫刻はなく、カトリックの美術を見慣れた私には物珍しく見えました)コンサートは素晴らしく、知らない曲しかないのにどの曲も新鮮に楽しめました。楽器の音も素晴らしくて、数日耳に残っていましたが、もう消えてしまって残念。
    音楽は場所によって合う・合わないがありますが、うーん、同じ地区の別のマンションだというだけで合わなくなるなんて…なぜでしょうね??

    ボッコちゃん> お名前からしてドイツの方々のようです。西洋の方が西洋音楽をするのと、東洋人の西洋音楽はやっぱり何か違う気がすることがありますが、今回はまさしくぴったりという気がしました。音楽や踊りというのは地と血に溶け込んでいるものなのかもと、時々思います。もしそうなら、来世はアイルランドに生まれてアイリッシュダンスの名手になりたいです。

  • #4

    さっちー (月曜日, 17 9月 2018 07:25)

    アイリッシュダンスをしている、NANA先生を想像してしまい、クスッと にやけてしまいました。素敵な作品には、そんな ご苦労があったのですね。知識豊富な先生。毎回、ブログ楽しみです。旅日記 また、載せて下さいませ。�

  • #5

    nana (月曜日, 24 9月 2018 22:07)

    さっちーさん> コメントありがとうございます!(いつも読んでいらして、更新をせっついても下さるのに、なかなか更新が出来ず申し訳ないです;)
    アイリッシュダンスというと派手な衣装の少女というイメージが先行していますが、私は昔ながらの素朴なものが好きでして。パブや街角で音楽をしている人たちがいて、そのそばで自然発生的に始まるようなものが何とも言えずいいなぁ、と。あの音楽もなぜかひどく身に沁みたりして…。
    前に読んだ小説で、”アイルランドの音楽は人生の喜びと悲しみを同時に歌っているようだ”というようなくだりがあり、「なるほど、まさに!」と膝を打つような思いでした。いつか本場のパブで聴いてみたいものです。

    個展が終わったらどこか旅に出かけるつもりです。まだ行先は決まっていませんが、そろそろ行くので、旅日記もお楽しみに!