恭賀新年

明けましておめでとうございます。

本年が皆様にとって幸多き年になりますよう、お祈り申し上げます。

 

今年も新しい年を迎えることができました。本当に一年などあっという間ですが、その時その時を大切にして、充実した一年にしていきたいと思っております。

 

毎年12月になると、年賀状の事で頭を悩ませます。年賀状は早くから売っているのだから、さっさと買い求めて書いてしまい、年末はゆっくりと大掃除に集中すればいい。そんな正論は毎年なし崩しにされるのがお決まりで、今回も案の定、師走の忙しさに振り回されているうちにクリスマス頃になってあわてて書き始めました。

 

この干支一回り(12年)の年賀状は、絵本や伝説・民話などを題材にすると決めていて、これまでも卯年に『不思議の国のアリス』のうさぎを登場させたりなどしてきました。今年の干支は戌。犬が出てくるお話がたくさんある中、ぴんときたのは『花咲じいさん』。ご存知の通り、このお話において犬はかなりかわいそうな役ですが、隣のわるい夫婦による理不尽な仕打ちを何度も受けつつ、しかしそのたびに隣のわるい夫婦にはきちんとやり返し、飼い主のいい夫婦にはいいことがあるようにしているところがむしろユーモラスに思えてきて、犬が死んでしまうお話なのに不思議と悲しくなりすぎません。

とは言っても、戌年なのに犬の灰を撒いて枯れ木に花を咲かせているおじいさんを描くのは気が引けたので、犬が元気に「ここほれワンワン」をしているシーンに。

”いい人にいいことがあった”ということを素直に共感して喜び、ほっと和むような、でもうそみたいなシーンにくすっと笑ってしまうような絵になればいいと思いながらデザインしました。

描いている間も「ズルをしたり人を出し抜こうとしたりする人が世にはばかっているけれど、いい人にいいことがある世の中にはならないだろうか。ぜひそうあってほしいものなのに」などと考えていました。

 

年賀状のイラストは絵画教室でもリクエストがあって毎年扱っていますが、「全部手描きなんて無理!」とおっしゃる方には、「イラストを簡単にしてもいいし、一枚だけしっかり描いてそれを印刷するのもいいと思いますよ」と勧めています。

そして自分はオリジナルデザインで版画を作ることが多いのですが、今年はどういうわけか全部手描きで描き始めてしまい、途中で何度もやめておけばよかったと後悔しつつも、そのまま仕上げてしまいました。省略できるものは省略したつもりですし、最後のほうはさすがに手も早くなりましたが、予想以上に時間がかかりました。

でもやはり手描きならではの味とぬくもりはありますし、一点ものというのもいいものです。イラスト部分は筆遣いの勉強にもなりました。ちょっとしたことでおじいさんの表情が俗っぽくなったりするので、顔などは気を遣います。赤い字の部分は、左利きのために上手く描けず残念でしたが、ご愛嬌とさせていただきたく……。

ちなみに穴の中の小判の数は7枚です。”7”は私のラッキーナンバーかつサイン替わりなので、こういうところにさりげなく潜ませるのが好きです。誰も気づかなくても自分が楽しいので、時々、こういうことをこっそりとしています。

 

来年はとうとう民話や絵本から題材を選ぶという縛りも最後。イノシシの出てくるお話では思いつかないので、ブタの出てくるお話で考えようかなんて、終わったばかりだというのに、つい考えてしまいます。

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コメント: 2
  • #1

    ボッコちゃん (金曜日, 05 1月 2018 21:10)

    明けましておめでとうございます。写真を見て日本のお正月に思いを馳せます。こちらは1月6日まではクリスマスツリーやイルミネーションをそのままにしていますのでいまだクリスマス気分です。子供の頃読んでいた(どんだけ昔なんだ)はなさかじいさんの絵本は日本画家か描いたのか挿絵が素晴らしかったように思います。ある意味贅沢な絵本だった。最近のは可愛いマンガチックなのが多いね。時代と共に人の好みも変化するんだとしみじみ...。

  • #2

    凹太 (日曜日, 14 1月 2018 04:03)

    手書きの年賀状、素敵です。もらったほうはさぞかし嬉しいでしょう。きっと他のと別にして、後で飾ってもらえたのではないでしょうか。年末で忙しいのは分かりますが、ただの文字とイラストだけの年賀状は有難味がないですよね。花咲じいさんの話は勧善懲悪のほかに灰はいい肥料になると言いたいのでしょうか。そんなことを考えるのは凹太だけかもしれませんが。素晴らしい一年になりますように。