はらぺこあおむし

こどもの頃から、朝ご飯はパンと紅茶というのが定番だったので、パンが好きです。忙しいときや、おいしそうなパンを扱うパン屋さんに出会ったりすると、つい買ってしまうこともありますが、家で食べるパンは基本的に自家製です。

 

「パンを焼く」と言うだけで、「この人は大層な料理上手にちがいない!」と思われてしまうことがままあるのですが、実はパンを焼くこと自体はそんなに難しくありません。

でも、たとえばパンの発酵の具合などは、その日の気温や使ったぬるま湯の水温、時間などでも変わってしまうので、風味、膨らみ方、生地のきめ、表面のパリパリ感などは、毎回さまざまに変化します。

といっても、もちろん、お店ならレベルの高いパンをコンスタントに提供しなければならないでしょうが、家で食べるなら、多少失敗しても「ご愛嬌」です。

 

そんな調子で月に何度かパンをまとめて焼いて冷凍しておきます。前は、食パンを焼くことが多かったのですが、最近は『ハイジの白パン』という、ごくシンプルな生地の丸パンを焼くことが多くなりました。レシピでは600グラムの粉を使った生地を6個に分割するのですが、あるとき「分割が多いと冷凍庫で場所をとる」と気づき、3個に分割してコッペパンのように細長く焼いてみました。これなら確かに場所を取りません。

 

そして調子に乗って、次のときには2分割にしてみました。作業の合間にパンを焼いていたために、ついパンのことを忘れかけて2次発酵が長びき、あわててオーブンをセット。少し生地が膨らみすぎでしたが、家庭用なら許容範囲!

しかし、パンはオーブンの熱でさらに膨らむので、焼きあがったパンは想像以上の大きさになっていました。まるで小さな枕のようで、見ているだけで笑えてきます。

ひとしきり笑ったあと、「さすがに2分割はやりすぎだったか」と大きなパンを前に考えていましたが、ふと目の前のずんぐりしたパンに既視感を覚えました。なんだろう、何かに似ている……。なにか、最近見たものにこんなものがあったはず。

 

パンをスライスしながらも考え続け、ほどなく思い出したのが、「あっ!『はらぺこあおむし』!!」

『はらぺこあおむし』は言わずと知れた有名な絵本ですし、私も子供のころとても気に入っていました。たまたま、アトリエで使おうと数年ぶりに読み直したばかりだったのですが、さなぎになる直前のずんぐりしたあおむしのイラストが、目の前のパンにそっくりです。

大笑いのあと、絵本を持ってきて、記念撮影。今後はもう2分割にはしないと思うので、こんなパンを焼くこともないでしょう。失敗と言えば失敗かもしれないけれど、楽しませてもらいました。

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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (火曜日, 25 7月 2017 23:43)

    う~ん、確かに過発酵のような、ギリギリのような・・・。でも日本のパンは美味しいです。家で作ると焼き立ても食べられるし、焼いている時の香りも幸せな気持ちにさせてくれます。ちょっとした加減で出来が違うのも面白いです。サフイーストを持ってきたのでこっちでも作っていますが粉がおいしくないので(技術ではないと思いたい)残念なパンを食べています。

  • #2

    凹太 (金曜日, 04 8月 2017 08:15)

    焼き立てのパンが食べたい。ここにもあるけど何かが違う。あちこちにあるパン屋の前を通ってもいい匂いがしないし、食べられるけど美味しくない。家に帰って来た時ドアを開けるとパンを焼いた匂い。思わずにっこりし、リッチな感じがします。

  • #3

    Nana (月曜日, 28 8月 2017 00:40)

    ボッコちゃん>>いや、粉の問題ですよ、きっと。小麦粉よりもトウモロコシ粉の方が、風土に合っているのかもしれませんが、やっぱり食べなれたパンを食べたくなりますよね!
    凹太さん>>焼きたてのパンと、部屋中を包むその香りは、とっても豊かな気分になりますよね。焼いている間もついオーブンの中をのぞいたりして。最近はホームベーカリーという機械が流行っていて、それは材料を入れればこねて発酵させて焼いてくれるらしいのですが、途中途中でパンの面倒を見たり、様子を確認したりする時間も私にとっては豊かで捨てがたいものなので、まだまだアナログに作って行きたいと思っています。