柚子

昔から「桃栗三年柿八年」と言いますが、そのあとに「柚子の大呆け(おおぼけ)十八年」などと続くこともあります。柚子は実がなるまでに年月がかかるために「大呆け」呼ばわりされているのですが、柚子を育てている人にとっては共感できる言葉なのではないでしょうか。

 

我が家の柚子は、もともと大きめの苗木を植え、それから十八年近くたって3m以上に成長したにも関わらず、まともに実ったのは何度かだけ。ひとつしか採れなかった年までありました。

 

その柚子が今年は汚名返上のつもりと見えます。

いつになく花をたくさん咲かせたので、期待しないように気をつけながら見守っていると、実は順調に大きくなっていき、大小含めて50個ほどの収穫となりました。籠にいっぱいの柚子が採れるなんて、なんて贅沢!豊かな黄色をしているせいで、余計に宝物のよう。黄金でできた果実が山盛り、と見えてしまいます。スダチも大好きですが、あの緑色ではこうはいかないはず。

 

さっそく植物画を一枚描き、絵画教室の方々にもおすそ分けをしました。もちろん、宿題としてではなかったのですが、「食べる前に描きます!」と言ってくださった方も。柚子の中身をくりぬいて、種を除いて叩き、味噌やみりんを混ぜてもう一度皮に詰めて丸ごと焼く、という食べ方も教えていただいたので、試してみるつもりです。

 

これだけあれば、どんなお料理にも気軽に使えます。手始めに、たまたま読んでいた料理本(『ホットサラダ』 植松良枝/著)に載っていた温野菜のサラダをつくってみました。耐熱皿に、一口大に切った白菜と斜め薄切りの長ねぎを敷き、鶏のささ身をのせてラップをかけて電子レンジへ。火が通ったらささ身をほぐし、塩・ごま油・柚子の汁・柚子の皮のすりおろしを入れて和えるだけ、というスピード料理です。シンプルな味ですが、柚子の酸味と香りが効いていて、旬の野菜をたっぷり食べることができました。

我が家の柚子はどういうわけか種が多く入っていて、しかもその種がこれまたどういうわけかすごく立派。搾ると10個くらいの大きな種がごろごろ出てきたりもします。このあたりはやはり市販品にはかないませんが、ご愛嬌というものです。

ちなみに、残った皮は包丁で薄くそいで冷凍。こうしておけば、いつでも柚子風味のお吸い物やお漬物を作れます。

 

まだ柚子はたくさんあるので、柚子のマーマレード、柚子酒、柚子茶(柚子のはちみつ漬け)などなんでも作れそう。余っても、果汁を搾って瓶に入れておけば重宝しますし、搾ったあとの皮はオレンジピール、それでも多ければ柚子湯に……考えてみれば本当に、無駄なく使える優秀な果物です。

毎年これくらい実ってくれればいいのですが、さて来年はどうなるでしょう。黄金色の果実がたくさん実っている光景を、ぜひまた見せてほしいものです。

 

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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (月曜日, 21 11月 2016 22:45)

    柚子の木は切らなくて良かったね。柑橘が実っているのは豊かな感じがして好きです。昨日少し暖かい地方に行ったのですが普通の家にマンゴやバナナが実っていて羨ましかったです。

  • #2

    凹太 (日曜日, 27 11月 2016 06:26)

    ゆずの豊作おめでとうございます。ゆずが木にたくさんなっているのを見るのも楽しみです。マーマレードは種を少し入れるとよく固まります。火を止めたときにブランディーを垂らすとさらにいい感じです。ゆず酒もいいですね。ぜひ香りを楽しんでください。

  • #3

    nana (日曜日, 19 3月 2017 21:04)

    ボッコちゃん:地植えでトロピカルフルーツとは羨ましい!でもそんなに暖かいと、ほかの果実とは共存できないのでしょうね。うちの庭がエデンの園のようだったらいいのに。

    凹太さん: スコットランドのメーカーのマーマレードで、ウイスキー入り(もちろんスコッチウイスキーなのでしょう)のものがあるのですが、とてもおいしいですよ。 柚子酒、漬けておきました。ご帰国のころ、ちょうどよく漬かっていると思います。お楽しみに!!