ハガキ絵 参作集

毎回少しずつ載せようと思っているのにうまく時間が取れず、まとめてご紹介することになってしまっていますが……。

ハガキ絵サークルの参考作品として描いた水彩です。

まずはガマの穂。野菜や果物が続いたので、今回は何かいい切り花がないかとお花屋さんに行ったら、ガマの穂が売っていました。「ガマ」は湿地に生える背の高い草で、秋にちょっとフランクフルトに似た穂ができます。穂の部分はビロードのような手触りです。

家から散歩に出れば自生しているところもあるのですが、人数分を確保するのは難しそうですし、買ってみることに。

 

サークルの方たちもきっと懐かしがってくださるだろう、という予想はあたり、「子供のころ採った記憶がある」「綿毛になるんだっけ」と盛り上がりました。参考作品ではシンプルにそこに置いただけの状況を描いた一枚のほか、夕暮れ時をイメージして懐かしそうに描いた絵も用意しました。たまにはこういう感情をこめた絵も面白いかと思って。

 

ちょっと調べてみましたら、ガマの穂は昔、綿の代わりに布団に詰めたりもしたそうです。それで布団を「蒲団」とも書くのかもしれません。

買ってきたガマは茎もドライフラワーになっているし、穂の部分がわりと若い感じで、「きっと飾っているうちに綿毛にならないようにというお花屋さんの配慮なのだろう。良きかな、良きかな。」と、勝手に思っていたのですが、後日、暖かい部屋に置いていたら綿毛になってしまったという方が・・・!

「もしや、私はとんでもない時限爆弾を皆さまのご自宅に仕掛けてしまったのでは?!」と大いに慌てましたが、風で舞ったりする前に対処できたので実害はなかったとのことでほっとしました。お聞きしたところによると、どうやらもわもわとした塊になって落ちているのを、そっと掃除機で吸ってやるのが一番スマートな片付け方であるようです。

 

 

次の回ではりんごを描きました。まだちょっと早かったかもしれませんが、季節感を先取りするのもいいかと思いまして。

参考作品では赤いりんごだけを描いていますが、この日は「トキりんご」という青りんごも用意して、どちらを描いても両方描いても良しとしました。

野菜や果物を丸ごと描くのはよくやっていることなので、たまには切って描いてみたらと思ったのですが、口々に「難しそう!」との声が。結局、丸ごと描く方ばかりとなりました。丸ごとの立体感を出すよりは、半分に割ったりんごの方が簡単なのですが、そう言っても信じがたいご様子。うーん、視覚的にも面白いし、状況を説明しやすくなると思うのですけれどね。

 

うさぎりんごの参考作品も好評でした。「懐かしい~」という女性に、「昔食べた思い出があるんでしょう?」と、ある男性が水を向けると、「いえ、娘のお弁当によく入れてあげていたのを思い出して。懐かしいわ~」とのお返事。他の方々もうさぎりんごを懐かしがっているご様子。それを眺めながら、うさぎりんごひとつでも、だれかが作ってくれた思い出もあれば、だれかに作ってあげた思い出もあるのだな、と少ししみじみしてしまいました。

そういえば私も、うさぎりんごを初めて目の前で作ってもらったときのことはまだ覚えています。どこかでうさぎりんごを知って、どんなものなのかと家で訊いたら、作ってくれたのです。「え、これでうさぎなの?」と思ったことも、「そう言われれば、そっか、うさぎか」と納得したことも。今はもうない古い菜切り包丁がまな板に載っていたこと、いつものごとく「やってみていい?」とせがんで、教えてもらいながら不揃いなうさぎりんごをいくつか作ったこと、これもまた今はない染付のお皿に盛りつけたことまで、断片的にですが記憶に残っています。

りんごの切り方が違うだけではあるのですが、たくさんの人に思い出を残しているあたり、うさぎりんごは少し特別な食べ物でもあるのかもしれません。

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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (月曜日, 21 11月 2016 22:38)

    ガマの穂で思い出すのは「いなばのしろうさぎ」です。子供の頃家に絵本があって覚えているのはウサギが皮をむかれて痛そうでかわいそうだったと言う事とガマの穂で手当てしたという事。ウサギがワニをだましたくだりは忘れていました。リンゴの皮をむくのは日本人だけかしら?こちらの人は皮ごと食べています。30年以上前アメリカの空港で店先にあったリンゴを洋服で拭いてかじりながらレジでお金を払っているのを見てびっくりしたのを思い出しました。今なら驚かないけどね。


  • #2

    凹太 (日曜日, 27 11月 2016 06:36)

    子供のころがまの穂を取ってきて部屋に置いていたら、気がつくと見事に綿のような種が飛び散り、掃除が大変だったことを思い出します。こちらの湿地にもあります。年中リンゴは売っていますので、雪リンゴにみんながどんな反応を示すか一度試してみたいと思います。国産の物は古い品種らしく、縦長で上が赤く下半分は緑で酸味が強いです。

  • #3

    nana (日曜日, 19 3月 2017 21:16)

    ボッコちゃん: ガマの穂には本当に薬効があるそうです。昔は「知識がある=権力」だったので、あの神話も「正しい知識を持っている=王にふさわしい」という文脈なのだそうですよ。私としては弱っているものを助けたことの方が大事だと思うのですけれど。

    凹太さん: お菓子作りにはやはり酸味があって身が堅い紅玉がいいのですが、最近の紅玉は甘くて生食してもいいようなものが増えていて困ります。紅玉に関しては昔のりんごで十分なのにと思ってしまいます。