今、描き途中の日本画小品、洋梨と葡萄。
今日の夜描いたところまでで一度写真を撮ってみました。
下塗りによる雰囲気作りはまあまあだけれど、色が少し渋すぎるし、影色がまだ面白くない、というのが私の診たて。
でも立体感や空間は少し出てきたので、これからもっと密度を上げていこうと思います。葡萄もこれからきれいなピンクを入れたりして、おいしそうにしていくつもりです。
こちらはおまけ。(実物はこんなに明るくないのですが、写真では空も山も明るくなってしまっています)
他の絵の乾き待ちなどに少しずつ描き進めている、月の絵。私の趣味で描いているものです。秋になると月を描きたくなります。
今日描けたのはここまで。絵をイーゼルに立てかけて、少し離れたところに立って眺めます。
うーん、まだまだ手数も少ないし、絵が浅い。
全体をからっと明るくするのではなく、山にはもっと暗い部分もないとドラマチックにはならないし、夜のしっとりとした雰囲気も出したいところ。
次にはまず、刷毛を使った大きな仕事が必要!という診断を下しました。
ところで、この絵にはモデルにした場所などはなく、完全に私の中のイメージだけで描いています。モデルと言えるものがあるなら、実を言うと、ひとつの短歌です。
あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかや月 ―――明恵上人
初めてこの歌に出会ったときは、思わず赤い月を思い浮かべてしまいましたが、解説によると、この「あか」は「赤」ではなくて、「明」なのだそうです。あわてて頭の中の月を修正。赤い月も綺麗だったので少し惜しい気もしましたが……。
月があまりに明るくて、「明々や」としか言い表せない。拙い表現のようで、しかしその「あか」「や」の繰り返しにこそ、明るい月に圧倒され、心を奪われているさまが生々しく封じこめられているようです。単純といえば単純なのに、妙に聞き手の心に迫る歌となっていると思います。
イメージだけで描く絵は、えてして弱くなりがちですが、この絵はどうなるやら。少しでもその感動を描けるといいのですが。
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凹太 (日曜日, 02 10月 2016 23:53)
木に洋ナシがたくさん成っているとなんだか飾りみたいでおもしろいです。ブドウもおいしそうです。
自分も月の夜は大好きです。目が慣れてくるとかなり足元も良く見えて明るく感じます。また雲が月に照らされて真っ白に見えませんか。その時の静けさがいいです。残念ながらここは街中で保安上煌々と灯りがつき、夜も騒音があります。いつの日か、月を見上げながら一献といきたいものです。
ボッコちゃん (火曜日, 04 10月 2016 23:23)
洋梨の絵を見ていたら「クリスマスの12日」の歌を思い出しました。最初の日の贈り物は「梨の木にいるヤマウズラ」だったよね。普通の梨がみのっているのは地元だから良く知っているけど(お花も綺麗)、洋梨のみのっているのはまだ見たことがありません。いつかそんな情景に会えるかな。月夜の絵は童話の挿絵になりそうだと思いました。宮沢賢治の童話にどうでしょうか?
nana (水曜日, 02 11月 2016 11:05)
凹太さん> 木に実がなっている光景は本当に面白いし、見ていると豊かな気分になりますよね。今年は我が家の「大ボケ」の柚子もたくさん実ってくれて、また柿も多すぎるくらい実っていますよ。
私は田舎暮らしだからわりと夜目は利いている方かもしれませんが、シンガポールでは夜も街が明るくて、真っ暗になることがないので、暗いところに入っても瞳孔が開かなくなってしまう人がいると先日新聞で読みました。ちょっと怖いです。
月を見上げながら一献、風流ですねぇ。何年か前、一人で満月の晩に、庭で脚立に腰かけて月見酒をしたのを思い出しました。おっと、これはあまり風流なシチュエーションではないかも??
ボッコちゃん> 私もあの歌はなんだか忘れ難くて気に入っています。数え歌として、マザーグースの本にも入っていたりしますよね。最後まではなかなか覚えられないですが。
宮沢賢治なら確かに合いそうです。電信柱も描き込むべきですかね。