骨董市

今月も骨董市に行ってきました。もはやこの骨董市は私の毎月の楽しみなので、なるべく他に用事を入れず、行くようにしています。

この日もよく晴れて風も強すぎず、まずまずの骨董市日和。知名度が上がってきたせいもあるのか、にぎわっていました。まだ暑いので、かき氷も売れているようです。

 

今回の収穫は3つ。漆のものは海外へのお土産物にするかもしれなくて買ったものですが、うさぎの蓋置は自分用に求めました。

お茶のお稽古に通えなくなってから、「うちには十分あるし、もうお茶道具を買うのは止そう」と思っていたのに、つい目が行ってしまいます。

先日、テレビで裏千家の茶道の番組を見たせいで、余計にお道具への関心が高まっていたのかもしれません。

 

蓋置(ふたおき)は茶道具のひとつで、お茶を点てている間に釜のふたを載せておくものです。竹を切ったものや、陶器で作られたものがあります。今回見つけて気に入ってしまった蓋置は、うさぎが三羽集まって天を仰いでいるという、ちょっと変わった意匠。

普段使いには可愛すぎるので、おそらく月見の趣向などのお茶会に用いるべきなのでしょう。もちろん飾っておくだけでも楽しいですが、いつかそんなお茶会をやってみたいものです。

 

頭の中に茶室を建てて、想像をめぐらせます。さて、夕方おそくからゆっくりと月をめでるという趣向のお茶会を計画してみるといたしましょう。

まず「これは必ず使いたい」というのは、件の蓋置。こんな可愛いお道具ですから、甘くなりすぎないよう、ほかのお道具はあえてすっきりと渋いものがよさそうです。床の間の茶花も、いっそそっけないような花器にススキなどを活けて、萩や葛の花をごく控えめに配して。茶碗は月の意匠のものがあればそれも素敵ですが、なければ無地の渋い薄茶色か茶色の素朴なもの。秋の演出にもいいですし、土の表情がむしろ月面を思わせるかもしれません。茶杓も渋い色合いのもの、棗は秋草などがあれば使い、なければ無地か抽象的な模様のもの。

和菓子屋さんにはどんなお菓子が並んでいる頃でしょうか。もしかしたらうさぎ饅頭や、ススキの焼き印を押したお菓子もあるかもしれません。黄味しぐれも満月みたいでぴったりでしょう。お菓子に合う菓子鉢はあったかな、と気になってきます。

そんなお茶会でしたら、どんな着物が合うでしょう。亭主は渋めの着物にするものですし、秋らしい臙脂色をした織の着物に秋草柄の帯などどうだろう。また「若いのに趣味が渋すぎる」と言われそうですが、いかに。秋と言っても紅葉の柄はまだ早そう、となると鹿も早いということになるのかな……想像はいくらでも膨らんで、つい夢中になります。

漆のコースター。6枚セットになっていて、ひとつひとつに季節の花が描かれています。梅、桜、朝顔、撫子、菊、椿の6種類。

まとめて丸い箱に収まるようになっていて、箱のふたには牡丹の花が。会津塗。

こちらも会津塗のお皿。竹に鳥がとまった絵が描かれています。写真では鳥の体が青く見えますが、実物は渋い紫です。

うさぎの蓋置。楽焼。

この上に熱い釜のふたを載せるのが申し訳ない気が…。一羽だけ黒いブチなのも面白いです。

上から見ると、うさぎたちが「ふふん」とか「どうだ!」などと言いそうな、ちょっと自信ありげな顔に見えて、思わず笑ってしまいます。


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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (木曜日, 08 9月 2016 23:58)

    漆のコースターやお皿はこちらで使わせてくださいな。カンバセーションピースとでもいうのかしら?話題が広がって日本の紹介にもなります。ただ差し上げるより使っているところを見てもらい最後に引き上げるとき誰かにプレゼントしょうと思います。みんな日本にとても興味があります。オリンピックもあるしね。

    秋のお茶会にどんなお軸を掛けるのでしょうか。自分で描きそうですね。季節があり、行事がありお茶会も趣向を考えるのが楽しいかと思います。こちらの人に茶道の事を説明するのは大変です。何人かの人はデモンストレーションを見てたりするのでいろいろ質問されます。形ではなくもっと深いものだという事をどう伝えたらいいのか私の語学力では無理。残念です。

  • #2

    凹太 (土曜日, 10 9月 2016 11:10)

    空想茶会、なかなかいい感じでした。秋の涼しげな風も感じました。
    いつも思うけど、骨董は本当に面白い。人によってはごみ、他の人には宝物。知り合いの骨董好きのお父さんは骨董好きでしたが、本人がいなくなると家族が処分しまたそうです。おかげでおこぼれをいただきました。自分のの勝手と思いますが、運命の糸で結ばれた骨董がありますよね。

  • #3

    nana (木曜日, 29 9月 2016 02:18)

    ボッコちゃん> どうぞどうぞお使いください。日本のいい紹介になりそうです。
    お茶会のお軸だけはどうしてもうまく決まりませんでした。もちろん自分で描くのは楽しそうですが、月の絵では本物には叶わないので野暮ですし、秋草は茶花と重なります。やはりここは「月」の字が入った禅語のお軸がぴったりかもしれません。

    凹太さん>空想茶会、考えると想像が無限に広がってきて全然飽きませんよ。風邪で寝ているときなどには最高の暇つぶしになってしまいそうです。あ、でも思えば、うさぎの蓋置はきっと干支の卯年でも使えますね。  
    骨董は本当に、いらない人にはただのガラクタで、勿体ないくらい。運命を感じる骨董と出会うと、自分を待っていてくれた気がして、きつく締めたはずの財布のひもがいつのまにか緩んでしまいますが・・・。