スズメバチ

 先日、勝手口の階段の屋根にスズメバチが巣を作り始めているのに気が付きました。前にも、玄関の方に巣を作ろうしたやつがいたけれど、何度か巣の土台を取り払っているうちにあきらめてどこかに行ってくれたので、今回もそうしてみました。が、こいつがなかなかあきらめてくれません。
数日間、毎朝そっと見上げては、「今日もいる!」となり、仕方なく玄関から洗濯物を干すことに。
洗濯物を抱えて玄関から出ると、上方で低い羽音がします。まさかと思い、恐る恐る見上げると、なんと、もっと大きな巣の作りかけがぶら下がっているではありませんか。なんてこと!こっちにもいたのか。
『四面楚歌』ならぬ『二面楚歌』?いえいえ、ぴったりの言葉がちゃんとありましたね。これぞまさに『前門の虎 後門の狼』。
一匹だけで作っているけど、ほかの蜂はどうしたんだろう?
考えてみるとそもそもハチの生態についてほとんど知らないことに気が付きました。そこで、昆虫図鑑のハチのページと、ファーブル昆虫記のスズメバチの記述をざっと読みましたが、スズメバチは女王だけで巣を作るということ以外、あまり参考になりませんでした。
ファーブルさんは案外残酷な実験をいとわない人だったんだな、ということはよくわかりましたが。
そっとドアの隙間から覗く限り、せっせと女王バチ一人で巣を建設している姿は健気で同情心がおこるし、正直なところ蜂の生態も興味深い。巣も面白くて、どうやって作っていくのか、完成するまで見ていたい気もします。
けれども巣には多ければ数百匹ものハチが住むことになるらしいし、そうでなくともスズメバチたちと玄関を共有するのは危険極まりないので、やむを得ないと判断。かわいそうですが、今のうちにと退治しました。
今は作りかけの巣だけが所在なくぶら下がっていますが、こうしてじっくりと(刺される心配もなく)観察してみると、なんと丁寧な作りでしょう。枯れ木などをかじってほぐし、パルプにして少しずつ固めて作っているのだそうで、ファーブルが「紙細工」と評しているのもわかります。どの女王バチも、これを誰に教わるでもなく作るというのを思うにつけ、本能というものに感嘆するほかありません。これが自然の造形かと思うと、とてもかなわない気がしてきます。

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コメント: 3
  • #1

    凹太 (水曜日, 08 6月 2016 09:00)

    ハチの巣は芸術と言ってもいいぐらいきれいです。アシナガバチやトックリバチの巣を宝物にしていた時もあります。スズメバチもガラスケースに入れて飾っている方もいます。感動的だからでしょう。でもスズメバチは特に危険ですから家にはあっては困ります。ごめんなさいです。それは仕方ないです。ファーブル昆虫記を大人になってもう一度読んだら感動しまくりでした。なんでも確かめる凄い人です。中学生か高校生のとき読んだら昆虫学を志していたかもしれません。いつかまた読んでみたいと思います。蝉と大砲の話が印象に残っています。

  • #2

    ボッコちゃん (水曜日, 08 6月 2016 23:09)

    クマのプーさんのようにならないように蜂には充分お気をつけください。ハチの巣もそうですが鳥の巣も感動ものです。以前カラスが団地のベランダから集めたハンガーで作った巣をテレビで見ましたがとても美しかった(?)です。

  • #3

    nana (金曜日, 10 6月 2016 00:51)

    凹太さん>> 旅館などでスズメバチの巣を縁起物として飾っているのを見たことがある気がします。私はスズメバチの巣を飾るよりは、養蜂をして家で一年使う分くらいのはちみつを自分で賄うことの方にずっと憧れます。
    ボッコちゃん>> 『クマのプーさんのように…』というのに吹き出してしまいました(笑)
    たしかに鳥の巣も感動的で、それこそかざりたくなります。ハンガーの巣もきれいですよね。
    青いもので巣を飾る鳥が、辺り一帯から青いものをかき集めて飾りつけしている映像を見たことがありますが、とても興味深かったです。ちょっと飾りを動かしては巣から離れて眺め、またちょっと直したりする様子が芸術家に見えました。