しばらく寝かせておいた富士山たちを描きあげました。
冬の厳粛な富士、さくらを前景に少しのどかな富士、そして雲海の向こうの白亜の富士。
冬と春の富士山は、同じ角度から描いていますが、雪の量が違います。春は、雪が解けて地面が見えてきたところです。
冬の富士はあくまで厳しい感じ、きんと冷たい空気を描きたかったので、少々かたい描き方で。針葉樹もかたく。
薄紫色や灰色がかった鈍い紺色を使って木々の間のもやを描いたら、森閑とした空気が出てきました。でも枯れ木の色合いにどこか春を予感させるように。
春の富士は強張っていたものがほどけていくように、のどかに。でも山の上ではまだまだ雪が残っています。富士山には何色かの青や水色を使い、薄塗りながらも岩絵の具の発色がきれいにでました。
桜と奥の富士山が分断していたのですが、薄緑、薄紫、胡粉、雲母などをうすーく溶いた曖昧な色を刷毛で塗り、うっすらと春の空気を漂わせてみました。桜と富士とがうまくなじみ、春らしい空気感に。
なぜかあまり悩まずすいすい描けた雲海の富士山。雲海は参考になるいい資料もなかったのに、どうしてどうして。金色の地に白の富士山という、単純になりがちな絵柄。いくつかの白を使い分け、影の部分にはいろんな色味で色幅も出してみました。やりすぎて全体の品を損なわないように気遣いつつ、格調高さとスケールの大きさを意識して描きました。
「拝みたくなる」「ご利益がありそう」というご評判をいただき、中には拝んでみせる方もいらして、ちょっとびっくりしました。
また夏になったら夏の富士、そして秋の富士も描かせていただきます。
描きましたらまた皆さまにお見せしますので、お楽しみに!
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凹太 (金曜日, 13 3月 2015 08:54)
なかなかいい出来のようです。同じ題材で描くのは大変だったでしょう。写真を日本語の授業で四季を紹介するときに使ってもよろしいですか。写真よりインパクトがあります。