節分

ちょうど節分の日でした。鬼もおたふくも仲良さそう。
ちょうど節分の日でした。鬼もおたふくも仲良さそう。

前回のアトリエでは、予告通り、節分のモチーフにしました。ちょうど小さな鬼とおたふくのお面を見つけたので、枡に入れた豆、柊(ひいらぎ)の枝と組み合わせて描いてもらうことにしたのです。

 

最初、鬼はわかるけれどなんでおたふくのお面が一緒に売っているのかわからなかったのですが、「福は内」だからおたふく(お多福)なのですね!鬼は豆もて追われる嫌われ者であわれですが、その横でおたふくがおっとりと笑っているのは、ちょっと心が和みます。

 

枡の形を正確に描くだけでも難しいし、お面や柊は立てかけても寝かせても、影や隙間のでき方などが複雑になるので、

「お面はどちらかひとつでもいいし、柊も無理にいれなくてもいいですよ」と申し上げましたが、みなさんは欲張って全部入れていました。そして、あとで「難しい!」「でもみんな入れたかったんですよ」「そうですよね。私も!」などと小声でこぼしていたのがちょっとおかしかったです。

 

豆の入った枡は、沢山の豆をどう描いたらいいのかわからなくなるようで、よく質問されましたが、すべての豆をひと粒ひと粒、丁寧に描く必要はありません。光と影を意識しつつ塗り分けて立体感をだし、余裕があれば目立つところにあるいくつかの豆だけ、少し描写してやれば十分なのです。

遠目に見て印象があっていて、よく書いてあるように見えて、実は間近で見るとあまり手を入れていないという絵があります。限られた時間で、よく描写されているように見せるというのも技術です。

 

ふと気がつくと。皆さんの描く鬼やおたふくは、同じモチーフを描いていると思えないくらい、バラバラです。目がぱっちりしていたり、逆に細かったり、顔がきゅっと小さいのがいるかと思えば、こちらのはゆったりと微笑んでいるという具合で、どうやらどれも実物とは少し違っているようです。

もっとよく見ると……おや?本人に似ているではありませんか!

 

肖像画、人形、お面……実はこういう「顔」のあるモチーフは、気をつけないと描いている本人の顔に似るので注意が必要です。つり目の人は何を描いても、無意識につり目にしてしまうという調子です。動物を描く時でさえ似てしまうことがあるくらい、これは強力な呪い(?)のようなもので、かなり気をつけても本人に似てしまうことがあります。

と、事前に説明しておいたのですが、やはり避けられぬ宿命なのかもしれませんね?


「お面がそっくりに描けない」と言って困りつつも、お互いの描いたお面の顔を比べあって噴きだしたりして、面白がっていらっしゃいます。

確かに実物とはちょっと違うかもしれません。でも、それはそれで、描いた人が感じられて楽しいものでした。

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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (火曜日, 10 2月 2015 04:39)

    節分の豆がないので持ってきた落花生を歳の数だけいただきましょう。ウノ、ドス、トレス......セセンタイウノ。途中で数を間違えそうです。それにそんなに沢山食べられないですね。胸焼けしそう。鬼はいつも悪者にされてしまいますが「泣いたあかおに」の童話を思い、国や人種で物事をくくりがちな自分を反省したりします。(珍しくまじめな発言。)ではまた。チャオ!

  • #2

    凹太 (火曜日, 10 2月 2015 08:18)

    顔を描くと本人に似るで思い出しました。女子が自画像を描くと目がパッチリ、まつ毛がくっきり。でも本人に似ていません。たぶん。これは別の現象でしょうかね。少女漫画の主人公に似ているのです。美術の先生がこんなに眼の大きい人はいませんと直していました。 こちらでは目の大きな女性が多く、くっきりした二重で、まつ毛も長く綺麗にカールしています。特に子供の目がきれいです。自分とえらい違いです。

  • #3

    nana (土曜日, 14 2月 2015 11:10)

    ボッコちゃん> 『泣いたあかおに』に出てくる鬼は、赤鬼・青鬼ともに、気弱で優しく、人間より人間的かもしれない鬼でしたね。それも切ないですが、私がもう一つ思い出すのは『まんが日本昔ばなし』に出てきた鬼で、人間がすりおろして旨そうに食べている山芋を見て、鬼の角と勘違いし、自分の角を折ってすりおろそうとする話です。折るときなど、痛がるのがかわいそうで見ていられませんでした。
    凹太さん> 本人に似る場合と、理想の顔を描いてしまう場合があるようです。特に小学生くらいの少女は、「女の子」を描くとほとんどお姫様かアイドルか何かのキャラクターになりますよ! コロンビアは確かに長い黒髪に彫の深い顔立ちが印象的な美女が多いですね。ヨーロッパに行ってもそう思いますが、日本人は幼く見られがちです。自分が子供のように思えて、どうも座りがよくありません。