お節料理

今年のお節。 美しく詰めるのも難しい。
今年のお節。 美しく詰めるのも難しい。

広告を見ると、何か月も前からおせちの予約が始まっているようですし、おせちを「作るうち」と「作らないうち」とで二分化されてきているのを感じる近年。

しかし、それでも我が家はやっぱり、おせちを「作るうち」。今年は祖父母宅へも届けるので、特に張り切って作りました!


手前のお重:

煮しめ(椎茸、ごぼう、絹さや、竹の子、海老、里芋、人参、蓮根、鶏肉、こんにゃく)、菊花蕪(きっかかぶ)、酢蓮(すばす)、紅白なます。


ちょうど小粒の蕪が手に入ったので、かわいらしい菊花蕪に。『有次』のとても良く切れる包丁で切れ目を入れたので、きれいに仕上がりました。(良く切れる包丁は料理を美味しく見せるのだということを、この包丁で学びました)

酢蓮にした蓮根は、成長する途中に圧力でもかかったのか、みんな穴が細く歪んでいました。切りながら「なにがあったの?」と思わず尋ねてみたり。

仕切りには庭から取ってきたハランを使いました。本当はもっと実用的かつ洒落た使い方があるはずですが、そうでなくても、ちょっと緑が入るだけで料理が引き立つ気がします。


奥のお重:

にしんの昆布巻、ごぼうの肉巻き、数の子、紅白のかまぼこ、伊達巻


昆布巻、数の子、かまぼこは市販のもの。市販の昆布巻は味が濃すぎるので、来年は作ってみようかと思っています。さすがにかまぼこまでは手を出しませんが。

かまぼこは一部に扇のような飾り切りを。ほんのちょっとした手間なのに、お正月らしくなります。

盛り付ける時にココットや小さなガラス器などを使ってみましたが、汁気のあるおかずも扱いやすくなるうえに、ちょっと洒落て見えました。これはいい発見!


そのほかに栗きんとん、黒豆、お雑煮など。

テーブルにはシックな紺色のクロスをかけてあります。ここにおせちの詰まったお重、柳の祝箸、打ち出の小槌や羽根つきの形をした箸置き、スパークリングの日本酒を注いだ小さなグラスを並べれば準備完了。


それにしても、考えてみればおせちというのはとても興味深い料理です。かまぼこは日の出に見立て、海老はヒゲと曲がった腰が老人を思わせるということで長寿を願い、昆布は「慶ぶ」に通じるなど、洒落や見立てのオンパレード!

感心したり駄洒落に脱力したり、それも面白いのですが、私が特に惹かれるのは、おせちが神饌(神様へ供える食べ物)であるということです。


古来、日本ではお正月には各家に年神様がお越しになるとされていて、いらした神様が「ここだ」とわかるように目印として門松を立て、依り代としてお正月飾りを飾り、各部屋にひとつずつ鏡餅を供えました。

そして実は、お節料理も神様へのお供え物なのだとか。祝箸は両端とも細くなっていますが、人間が下の端を使っておせちを食べている時、同時に年神様も上の端を使っておせちを召し上がるのだそうです! 神道ではそうして神と人がともに食事をすることで、人の願いを神が理解し共有してくださる、と考えるようです。

「ほほう、大変興味深い!」と身を乗り出したあとで、はっとしました。それから今更ながら申し訳なくなり、

「そうとは存じませんで、子供の頃などは栗きんとんや黒豆など甘いものばかりを食べておりました。さぞ辟易したことかと存じます…」と、心の隅でこっそり謝罪。


それはそうと、今回のおせちの中でも会心の出来だったのは伊達巻でした。

高校の家庭科で習ったレシピ(役に立つものを教えてくださった先生に感謝!)で毎年のように作ってきましたが、今回が一番の出来!

年に一回しか作らないので研究も上達もできなかったのですが、コツはつかめたような。来年もうまく作れるかな、などと今から鬼が笑いそう(爆笑?それともあまりに早すぎて呆れる?)なことを考えています。

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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (月曜日, 05 1月 2015 09:36)

    おせちは年神様と共にいただくと言う事を初めて知りました。これからは心して頂く事にいたしましょう。蓮根は見通しがきくからとか。良い年になるといいね!

  • #2

    nana (月曜日, 05 1月 2015 22:19)

    反対側で神様が一緒に召し上がっているので、間違っても、取り箸がわりに引っくり返して使ったりしてはなりませんね。それにしても、その年の神様がいる、という発想も面白いです。栗きんとんは山の幸であるだけでなく、金に見立てて「お金がたまる」という縁起物らしいですよ!

  • #3

    凹太 (火曜日, 06 1月 2015 12:21)

    羨ましいです。日本食は美味しいだけでなく、美しくなければならないと思います。特におせちはです。味が混ざらないように仕切りがありますよね。ここではいっぱい食べる事が大事です。高級なレストランでは盛りつけもきれいです。でも、多くの人は何でも混ぜて食べるのです。いまは写真でおせちを楽しみます。