ふらり 金沢への旅①

冬の金沢に行ってまいりました。

前日まで八王子の方へ泊まり込みの仕事で行っていたりもして、なにもこんな忙しい時期に、という感もあったのですが、えいやっと思い切って行ってしまいました。

今年の春の日記にはすでに「旅に出たくてたまらないが、なかなか行けない」という嘆きが書かれているのを見つけ、そう言っているうちに師走になってしまったのだし、この空いた数日で行かないと次はいつ行けるかわからないと思ったのでした。


金沢は今回で2度目。祖母の出身地であることもあり、子供の頃連れて行ってもらったことがあります。碁盤の目のように伸びる道路、高い建物が少なくて落ち着いた街並み、美しいお城と石垣。

城を中心にきちんと整備され、こじんまりとまとまった小奇麗な街という印象で、気に入りました。思えば、城下町に憧れを抱くようになったきっかけは、金沢だった気がします。

「いつかまたひとりで来て、ゆっくりみたい」と思っていた地のひとつでした。


そして降り立った小松空港。羽田からはたった1時間5分ほどでした。

一歩外を出ると、冷たい風がごうごうと吹いて、髪を引っ張ります。どんより曇った空からはいつでもあられに変わりそうな冷たい雨が降っています。

「これが話に聞く、日本海側の冬か!」と太平洋側の冬しか知らない私はすでに圧倒され気味。

金沢駅行きのバスに乗ると、車窓からは波高く荒れた灰色の海が見えます。車内まで音が聞こえてきそうな荒れ方でした。


たくさん着込んだ上に裏地がもこもこのパーカーを重ね、大判のマフラーをぐるぐると巻き、手袋、ニット帽という格好で、いざ金沢の街へ。

まずは日本三大名園のひとつ、兼六園へとバスで向かいます。こんな天気なのに、とも思いますが、逆にこんな天気ならではの風情もあるかもしれません。

バスに乗っていると、街路樹やツツジの植え込みなどにも、雪から木を守るための「雪吊り」が施してあるのが目につきます。雪吊りは兼六園の名物みたいに思っていたのですが、家の庭や街路樹にも施すのだと知りました。


兼六園に着いたころには雨はあられに変わり、風が強く吹くと顔にぱちぱちと当たって、少々痛いほど。あられの日の兼六園は空いていて、前に来た時とは大違い。池も空を写して重たい灰色をしています。子供の頃は気がつかなかったけれど、兼六園の木は圧倒的に松が多く、松と池を中心とした庭園だったのだなと思いました。

その松の一本一本に雪吊りがしてあります。夏に訪れればその苦労はわからないかもしれませんが、雪吊りをして大量に降る雪から守られていたからこそ、こんな立派な木に育つのです。

木のそばに、その木より高い柱を立てて、てっぺんから円すい状に縄を張り枝に結ぶという手のかかる作業を思うと、庭師たちに頭が下がります。


木だけでなく、灯ろうなど石でできたものにも、雪や氷から保護するために菰(こも)が巻かれていることがあります。風情に惹かれて立ち寄った兼六園そばの神社では、なんとお稲荷さんのきつねの像にも菰が巻いてありました。

顔の部分だけわずかに開けてあるのは、そうしないとこの塊が何であるか誰にも分からないからでしょうか。それとも、石とはいえ、きつねの顔まで覆っては息が出来なくてかわいそうだと思ったからでしょうか。

勝手に、後者だといいなと思っています。

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コメント: 3
  • #1

    凹太 (木曜日, 01 1月 2015 23:28)

    最後の写真がかわいい。まず、必要なのかと思ってしまいますが。寒そうだからもこを掛けたのでしょう。時間があったら何かしようと思っても何も出来ないでしょうから、思いたったら吉日です。

  • #2

    ボッコちゃん (月曜日, 05 1月 2015 10:45)

    古い話で恐縮ですが、子供のころ母の実家の金沢に行くのは夜汽車でした。蒸気機関車よ!!車内は結構寒かったし夜中にし~んとした誰もいない駅に停車するのですが、寂しくて心細くて泣きたくなるような気持ちになりました。今ほど地方の食べ物がたやすく手に入る時代ではなかったので、母は子供たちを置いて買い物に走り私達はさらに心細い体験をさせられました。まだ恨んでいるわけではありませんが金沢というとその思い出が強くてね。良い街だとは思いますが。

  • #3

    nana (月曜日, 05 1月 2015 22:43)

    凹太さん≫ 石に雨や雪がしみこむと、中で凍ったりして石が割れたりするのだとか。でもお稲荷さんには、寒そうだからやってあげたのかな??
    ボッコちゃん≫ 夜汽車!それはすごいですね。でも心細い感じはわかります。私もイギリスでスコットランド行の夜行列車に乗りましたが、途中のがらんとした駅での停車はちょっと怖いくらいでした。 金沢、今行けばまた印象が違うかもしれませんよ。機会があったら行きましょう。