柚子の大ボケ18年

ある日の朝食。自家製パンのトーストに柚子のマーマレード。
ある日の朝食。自家製パンのトーストに柚子のマーマレード。

このあたりは暖かくて、例年は綺麗に紅葉しないのですが、今年は桜やケヤキ、銀杏や楓も、とても綺麗に色づきました。雨が多かったため、あるいは秋が早かったためでしょうか。外を歩いていると、紅葉に見とれて、木々を仰いでいる人の姿をよく見かけたものです。

きっと皆さまのご近所でも、今年は綺麗な紅葉が目を楽しませてくれたのではないでしょうか。

わが庭でも、今年はいつになく紅葉が美しく、ブルーベリーの木は真っ赤に染まった葉で初冬の寂しげな庭を彩ってくれています。

 

だがしかし。「花より団子」の私の目は、ひとしきり照葉を愛でたあと、ゆずやレモンの実へと移ります。レモンは鉢植えですが、毎年10~15個の実をつけてくれます。しかし「桃栗三年、柿八年、柚子の大ボケ十八年」とはよく言ったもので、きまぐれにしか実をつけなかった柚子が、今年はやっと良い実をつけたのです。家人が「実らないなら斬っちゃうぞ~」と脅したので、のんびりしてもいられなくなったのかもしれません。

 

なんにせよ、今年は豊作!しばらく柚子の木に暖かな黄色をした実がたくさん生っているのを眺めてニンマリしていたいところですが、あまり収穫が遅くなると香りが飛んでしまうし、木にも負担がかかります。勇んでカゴを用意し、脚立をたてて、いざ収穫!

剪定したり、収穫したり、時にペンキを塗ったりしているうちに、脚立の上で作業することに慣れてしまった私も、柚子の木を相手にする時ばかりは慎重に作業します。というのも、柚子の枝や幹には2センチほどの鋭いトゲがたくさんあるので、気をつけないと痛い目にあうのです。

 

服をトゲに引っ掛けたり、不機嫌な猫にでも出くわしたかのような傷を手につけたりしながらも、なんとか50個ほどの柚子を収穫しました。部屋の中には、柚子の香りが立ち込めています。

ああ、幸せ!


まずは鍋一杯に柚子のマーマレードを作って冷凍し、また柚子の皮をぜいたくに使って大根のお漬物も作りました。「これは庭の柚子で作った!」と思うだけで、さらにおいしく感じるのだからゲンキンなものです。お風呂に入れて柚子湯にもしましたし、おすそ分けもしました。嬉しいことにそれでもまだ残っているので、もう少し寒くなったら、柚餅子(「ゆべし」。柚子の皮に味噌やクルミが詰まった保存食)に初挑戦してみたいと思っています。

 

そうして今年は柚子を満喫していますが、こんなに採れてしまったら、来年はひとつも実をつけないのではないかと、早くも来年の収穫量が心配になってきます。『捕らぬたぬき』ならぬ『採らぬ柚子』の実算用、でしょうか。

もちろん、お礼肥え(収穫の後でお礼として施す肥料)をきちんとあげて世話をするつもりですが、やはり来年も「実らぬなら斬ってしまうぞ。ちなみに私は本気だ!」とでも、脅したほうがいいのかもしれません。

コメントをお書きください

コメント: 4
  • #1

    凹太 (火曜日, 30 12月 2014 11:24)

    ゆずの香りはいいですよね。安らぐ感じがします。人と同じで、すぐ実が生る人と時間のかかる人がいるように植物もそうなのですね。仕事の効率は適度なストレスを与えたほうがいいようですが、植物も成木攻めのように少しのストレスは有効かもしれません。でも、主人の足音が一番の肥料だそうですので、かわいがってください。お願いします。

  • #2

    nana (木曜日, 01 1月 2015 23:24)

    植物によって寿命もまちまちですからね。同じ桜でも、ソメイヨシノは短命ですし、山桜・枝垂桜などは1000年も生きると言われていますね。

    凹太さん、ご心配なく。ちょっと言葉で脅しても、本当に柚子の木を斬る気はありませんし、カミキリムシなど来ようものなら必死で守ってやっているくらいですから。ちゃんと私なりにかわいがっております。…足音は間遠かもしれませんが。

  • #3

    ボッコちゃん (月曜日, 05 1月 2015 11:03)

    柚子の独り言 「奈々さん長らくおまたせいたしました。あなたの強欲なお母様に毎年脅迫されて怖かったです。一番高い植木なのにと何回聞かされたことでしょう。私なりに努力はしていたのですがいかんせん栄養が足らず困っておりました。今年やっと成果があらわれたところです。来年の事はお約束できませんが末永くごひいきに。よろしく頼みます。」

  • #4

    nana (月曜日, 05 1月 2015 22:56)

    ボッコちゃん≫ 柚子の気持ちになって書いてくれたのですね。「強欲なお母様」のくだりで笑いました。 じゃあ私もお返事を。「そんな怖がっていたとは知らず、母を止めなくてごめんなさいね。でもきっと母も本気で切るつもりはないから大丈夫。今年はいい実をありがとう。近くの木を切って根を張る余地を用意したのが良かったのかしら。ちゃんとお礼肥えも差し上げるから、次の冬にはぜひまた…。こちらこそ、末永くよろしくね!」