今月の収穫

野分(台風)の時期となりました。朝晩は肌寒くなり、庭の野菜もミニトマトと茄子がまだ頑張っていますが、もうそろそろ終わりです。

庭の収穫はひと段落ついてしまいましたが、先日の骨董市での収穫はいくつかありました。骨董市は私にとって、もはや月に一度のお楽しみ。都内に遊びに行く時間がとれないような時でも、これだけは必ず行きます!

 

収穫のひとつめは、うさぎの置物。後ろに『伏見稲荷大社』という印が押されているのですが、前に伏見稲荷に行った時にはそういうものが売っていた記憶がありません。周辺で作っている民芸品か、それとも干支の限定品だったのか。そのあたりはわかりませんが、ウサギの顔の絵付けはいかにも京都風。

……なんていうと、どう違うのかと訊かれそうですが、たとえば江戸張子のこま犬の、勢いのいい絵付けなどとは違って、筆運びもゆったりと落ち着いていて品のいい感じです。どこか、京都は嵯峨で作られている張子のお面『嵯峨面』にも通じるものがあり、「ああ京都風だな」と思ってしまうのです。

 

それから新品同様の茶筅(ちゃせん)。奈良で作られた、結構いい品物でした。使いやすそうだし、新品同様なのにとてもお手ごろ価格!ちょうど、お稽古用の茶筅を買い替えたかったので、「これは買いだわ」と即決でした。

 

そしてなによりの掘り出し物は、なんとお稲荷さん!

二宮金次郎の像なら、手のひらサイズから50センチくらいのものまで、骨董市によく出回っていますが、お稲荷さんは初めて見ました。(というより、本来こんなところで売られているべきではないと思うのですが。)

 

骨董品やがらくたに埋もれるようにして、ぽつんと座って居る姿が、自らの境遇に困惑しているかのようでした。

またお稲荷さんの像というと大抵一対になっていますが、奉納用だったのか、左を向いた一匹の像のみ。それがまた、寂しそうで所在なさげに見えてきます。

 

高さ25センチくらいで、素材は灰色の石で、ざっくりと荒削りの素朴な造形です。お稲荷さん好きの私としては、好みの姿ではないにも関わらず、もう情が移りかけてしまいます。しかし、奉納用の稲荷としては小さくても、部屋に置くにはちょっと物々しいし、重そう。お店のおじさんも持て余していたのか、頼んでもないのにすすんで値引きしてくれています。

でもこういうのは値段ではないので、その声を適当に受け流しつつ、しゃがみこんで、眺めたり持ち上げてみたりして悩むことしばし。しかし、ハッと「そうだ、なにより本人の意見を聞いていないじゃないか!」と気づき、さっそく訊いてみることに。

 

「さみしそうだね、良かったらうちに来るかい?」と訊くと、間をおかず「行く」と。訊かれるのを待っていたかのような返事の早さ!

……そうか、うちに来たいのか。

そうとわかれば。よし、重いだの嵩張るだのという問題は論外だ!私は喜んで君を連れて帰ろう!

 

 

こうしてうちに小さなお稲荷さんがきました。新品同様で汚れもなく、作りたてのようです。庭に置いたら苔むして貫録が出るでしょうか。それともアトリエに置いて、私の仕事ぶりを監督してもらったり、時には重しとしてパネルづくりを手伝ったりしてもらうべきでしょうか。(たぶん喜んで協力してくれます)

まだ置く場所は決まっていませんが、うちに入れただけでほっと緊張を解き、落ち着いてきた様子です。私にはあまりそういうセンスは無いはずなのに、よく伝わってくるのはあのお稲荷さんがわかりやすいからでしょうか?

 

置く場所についてはもう少し悩むことにして、とりあえず口の中を赤く塗って、小さな赤い前掛けを作ってあげようかと思っています。

写真をこのブログに載せようかとも思ったのですが、もうしばらくそっとしておいてほしそうだったので、今回はパス! うさぎが代打を務めてくれるそうです。

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コメント: 3
  • #1

    凹太 (火曜日, 14 10月 2014 08:22)

    お稲荷様のお使いのコンコン狐はどんなお姿なのでしょうか。次が楽しみです。人魚さんは写真だけですね。なにやら欧州生まれのようですが。それはそれとして、お口に入るお稲荷様も大好物なので、懐かしゅうございます。

  • #2

    ボッコちゃん (金曜日, 17 10月 2014 22:33)

    骨董市は楽しいね。こちらにも骨董市はあります。セントロと呼ばれる旧市街地で
    ちょっと危ない地区。出店するのにお金がかかる場所の他に路上にシートを敷いて売っている人が大勢います。かなりジャンクな品物です。そのシートの上で寝ているのは野良犬で売り物ではありません。私達はここでは外国人なので(当たり前ですが)高い値段を言われるので見るだけです。どうしても欲しい物があったらまずは半値を言って交渉するらしいですが、今の所そういう物には出会っていません。

  • #3

    nana (日曜日, 09 11月 2014 13:36)

    凹太さん>>
    そうそう、お稲荷さんと言いますが、本当は稲荷大明神の「お使い」なんですよね。時々、稲荷大明神そのものと混同されていますけど。
    狐の姿は、なんというか荒削りで、作っている途中で尾が割れて短くなってしまったらしいのを補修した跡があります。もしかしたら練習作だったのかもしれませんね。
    人魚はドイツで仕入れたものらしいですが、おそらく人魚姫の故郷デンマーク製。焼成時にできた小さなひびのせいでB級品になり、メーカーのわかる刻印を入れられなかったのではないかとのこと。でもそのせいでいろいろな人の手に渡り、こうして人魚好きの私の元へ来てくれたのだから面白いですね。

    ボッコちゃん>>
    私もセントロの骨董市(がらくた市??)に行ったのを思い出しました。たしかにジャンクでしたね。銀製品などもたくさんあったけれども、どうもデザインがごつく、意匠も南米っぽくて、西洋アンティークとは雰囲気が違いましたね。むしろ、「その横に寝転がってる、かわいい犬をちょうだい!」と言いたくなりました。コロンビアは本当に美犬ぞろいで、垂涎ものでした。
    「となりのトトロ」の偽もののTシャツが売っていたのにびっくりしたのも覚えています。