『小林奈々 植物画展』が、無事に終了いたしました。
毎年一度、なるべく春にと行っているこの展示も、今回で第4回となりました。
少しずつ地元の方にも親しまれてきているのが感じられ、また毎回来てくださる方も多くなってきました。とても嬉しく存じます。
今回一番好評だった絵は、やはり桜の絵でしょうか。p100号(縦112×横162センチ)の日本画です。
手前の方は現実的に、いわばこちらと”地続き”のように描き、しかし視線が奥に進むにつれて幻想的な別の世界に誘い込まれていくようなイメージで制作しました。
どうも、私にとっての桜にはそんなイメージが付きまとうようです…。
ところで、この絵に対して多いご質問は、何でしょうか?
実は、①どこを描いたのか ②どのくらいの時間がかかるのか、でした。
①は小林牧場でしたが、そのままに写実的に描くわけではなく、今回のようにもう”自分の世界”にしてしまうことも多いので、正しい答えとは言えないかもしれないですね。
②ですが、実は私にとってはすごく不思議な質問です。なぜなら、私が人の絵を見るとき、かかった時間は気にならない、むしろどうでもいいと思っているからです。それよりはどんなところから着想したかとか、どんなことを考えていたのかが気になってしまいます。なので、かかった時間を訊かれると、「みなさん、不思議なことをお尋ねになるなぁ」といつも思います。
実際の時間ですが、構想を練るのに時間がかかり、制作に入ると早い方なので、悩んでいる時間をのぞけば大分短くなります。でも、描いている途中でも数日悩んで手が進まなかったりするので、結局1か月くらいかかるというのが実情です。
かけた時間だけはかどるのではないのが憎いところですが、そういうところを含めて、日本画を描くことが好きです。
また、今回受け入れていただけるかドキドキしつつ、持ってきてみた抽象画ですが、これも反応が分かれて面白かったです。
「なんだぁ、これ?」と頭から突っぱねたり、抽象画と言うだけで無視して通る人もいましたが、「抽象画はわからないけど、これは綺麗ね」とか「なんだかこれはわかる気がする」と言ってくださる人もいました。
音楽をモチーフに描いたことを面白がってくださったり、日本画の岩絵具の質感や発色に惹かれる方もいて、持ってきてみて良かったと思いました。
どんな音楽でも色や形が思い浮かぶわけではないのですが、ほかにもいくつか浮かんでいる曲があるので、また描くつもりです。
次は、ドボルザークの『ユーモレスク』かな。
さて、今回の展示もたくさんの方に見ていただき、新しい出会いもいろいろとありました。これを励みに、また一年、絵を描きためていこうと思います。
来てくださった方、応援してくださった方々、ありがとうございました!
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凹太 (金曜日, 16 5月 2014 10:08)
展示会ご苦労様でした。多くの方とお話ができたようでよかったです。人と話をすると思わぬことに気付かされたり、自分の頭の中が整頓されることがよくあります。今自分がいる環境でも、一期一会は大事なんだなとちょうど思っていたところでした。展示された作品を見るのが楽しみです。そしてユーモレスクも楽しみです。以前聞いたあの個性的な演奏をモチーフにしたら、鮮やかかもしれません。さてどんな絵になるでしょうか。
奈々 (金曜日, 11 7月 2014 14:02)
お返事し損ねてしまって失礼しました!
もちろん、あの演奏で幻視したイメージで描くつもりですよ。台風の後の奇妙な光に包まれた夕暮のような、綺麗なのにちょっと不穏で、なまぬるい。でもどこか切ない感じです。ま、絵を見てのお楽しみということで。