屏風を描く間に、新たな道具が仲間入りしました。
写真の中で唯一、四角い顔をしている白い板状のものです。
昔、何かで頂いたという、卓上で鍋を温めるための道具(なんていう名前なのかもわからない)で、私が子供の頃には鍋料理になると卓上に登場していた気がするのですが、いつの間にかお蔵入りに。
最近になって「何年も使ってないし、もういいよね」と処分されることとなり、ごみ袋に入れられて、不燃ごみの日を待つばかりになっているところでした。
さて、日本画では鉱物や貝を砕いたものを絵の具として使います。
そのままでは砂のようで画面にもくっつかないので、膠(にかわ。動物性のタンパク質で、大昔から接着剤として使われてきた)で溶いて描きますが、この膠というのが結構気難しいのです。夏は傷みが早いし、冬はすぐに“煮凝り(にこごり)”みたいにぷるぷるに固まってしまいます。
せっかく温めても、絵皿の上に垂らした途端に、ぷるぷるになってしまう事さえあって、屏風を描きながら、しょっちゅうお湯を取りに行ったりしなければなりませんでした。
そんなとき、ふと捨てようとしていたあの道具を思い出したのです。
スイッチはどこにもなく、コンセントを入れれば天板の部分が熱くなって、上に乗せたものを温めてくれる。ただそれだけのシンプルな道具です。
でも使ってみると、ぷるぷるになった膠を手軽に温めなおすことが出来るし、絵皿ごと温めることも出来て、なかなか便利でした!
壊れるまで、大事に使っていけたらいいなと思っています。
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凹太 (木曜日, 13 2月 2014 12:43)
なつかしいです。久しぶりに見ました。使えるものは大事に使えるだけ使う。「もったいない」を英語でもスペイン語でも説明するのは難しい。意味のある言葉です。
ナナ (土曜日, 08 3月 2014 10:43)
「もったいない」はそのまま英語になるとか、ならないとか。
日本の古典文学でもよく出てくる「をし(惜しい)」という言葉も、もしかしたらほかの国にないニュアンスかもしれませんね。「をし」は「もったいない」という形になって現代に伝わったのかな、なんて想像してしまいます。