ツイてない日

昨日も進々堂の後、歩きたい気分にまかせて一条戻橋の方まで遠回りをして、堀川通を通って京都駅に戻り、32000歩達成。なんで今回の京都の旅はこんなに歩きたい気分なのでしょうか。

 

でも今日はバスを使って、まず北野天満宮へ。言わずと知れた菅原道真公を祀る神社です。牛の像がありますが、自分の体の悪いところと同じところを撫で、その手で自分の体を撫でるとよくなるのだとか。受験生たちが先生に言われて、牛の頭を撫で、自分の頭を撫でていました。その一団が去った後、私も自分の頭を撫で、ついでにいつも酷使している目も撫でましたが、ふと他人に見返りばかり期待されている牛を思って、少し鼻面を余計に撫でてやりました。

 

しかし今日の目的地はここではありません。「臨済宗の総本山のお寺にある、この松を描いてほしい」というご注文があり、その松を見に行くのです。写真はあるのですが、できれば実物が見たかったので、思い切って取材することにしたのでした。

 

歩いて妙心寺へ。総本山というだけあって、予想外に大きなお寺。中央に主だった建物が配置され、それを囲むように塀が張り巡らされ、迷路のような中にたくさんの院やお庭があります。こんな広い境内で、たった一本の松をを見つけ出せるのか?なんだか嫌な予感。

もう少し場所をよく聞いておけばよかったと後悔したものの、後には引けません。覚悟を決めて、拝観料を取って公開している4つのお庭も含めて、片っ端から見て回りました。

 

中には、抹茶とお菓子代込みの拝観料だったお庭もあり、抹茶を2回も頂きました。

紅葉しはじめた禅の庭を眺めつつ、禅僧の方たちのお運びでお茶を頂くのは、とても新鮮な体験でした。モミジもすっかり赤く染まったとは言えないけれど、それでも十分時を忘れてしまうような美しさでした。

 

でも肝心の松が見つかりません。植木屋さんは「自分の担当している3つの院の中にはないですね」、守衛さんは「松がずいぶん枯れたから、夏にかなり切ったんだよー」と言います。たしかに10本に1本以上は切られているでしょうか。まさかあの松も切られてしまったのかと、がっかり。

でも、不幸中の幸い(?)に”神頼み”だけはしやすい場所にいます。暗くてほとんど見えない、本殿の仏像に向かって手を合わせ(神社ばかり行っていたせいで手を打ちそうになる)、「どうぞあの松を見つけさせてください」と頼みました。

 

いくつもの禅の庭をじっくりと見て、心豊かな気分になりましたが、2時間半ほど歩き回っても、松を見つけられず。たまたま公開していない庭にあったのか、それとも枯れてしまったのか。とうとうあきらめることにしました。

 

気を取り直して、嵯峨線で嵐山へ。かねてから「次に京都に行ったら買おう」と思っていたお菓子を求めて、お店を探します。が、あたりも夕闇に染まり始め、お店が見つかりません。こちらは松よりもあっさりと諦めて、渡月橋へ向かいます。コロッケ屋さんが何軒もありますが、名物なのでしょうか。

観光シーズンの京都に来るのは初めてですが、こんなに人が多いとは。渡月橋は行列のままぞろぞろ渡る橋と化し、しかも若いカップルばっかりです。それでも澄んだ川の風が気持ちいい。

そろそろ帰ろうかと思って駅に向かって歩いているところで、湯葉味のソフトクリームを発見!豆腐・湯葉・豆乳好きとして見逃せず、早速食べてみました。ちゃんと湯葉独特の味もして、満足。

 

そうしているうちに、十三夜らしい月が上ってきました。「なんと玲瓏な、澄んだ月!」と感動して、せっかくだから橋の上からも見てみようという気になり、引き返しました。そして月を眺めつつ橋を渡り、また戻ってきたところで、京都駅行のバスがあったので乗ったのですが、これが大失敗!渋滞に巻き込まれ、混んだバスの中でたったまま50分ほど立っていなければなりませんでした。電車で帰るべきでした。

 

それから大阪の見知らぬ街に迷いつつ、やっと今晩のホテルに着いたと思ったら、「問題があって使えない部屋ができたので、ほかのホテルに移ってもらえないか」とフロントに言われ、ホテルを移動。部屋はグレードアップされたけれども、松、お菓子屋、バス、ホテル…こんなツイてない日ってあるんだな、と逆に感心してしまったくらい、なんだか不運つづきの一日でした。