アトリエ百花 第4回:オリーブオイルを描く

台風の影響で天気が心配でしたが、雨は思ったほどでもなく、中止することなく教室を開催できました。

 

この頃は生徒さんが自宅で描いた絵を「見てください」と持ってくることが多くなってきました。今回もシュウメイギクのスケッチと、アジサイの水彩が私を待っていました。

私が手を入れすぎては意味がないので、一部だけ描いてみせたりする程度ですが、今回は『白い花をどう描くか』の話だったのもあり、他の方も熱心に見ていて、質問もでます。みんなの勉強にもなっているようで、なによりです。

 

アジサイの方は、「気に入らなかった部分を、たわしで擦って洗ったんです」との言葉に一同絶句。海綿で洗い落とすことはあっても、たわしとは…!絵を眺めている私の横からは、「たわしって……たわしですか?亀の子たわし?」「そうです、亀の子たわしで」などという会話が聞こえてきます。

かなり厚い水彩紙とはいえ、まさかたわしで洗われるとは、メーカーも、また紙自身も、思ってもみなかったことでしょう。表面には細かい傷がつき、それがいいマチエール(素材的な表情)になってもいるのですが、ちょっと哀れにも思え、「よくぞ、ここまでたわしに耐えて…」と情けをかけてやりたくなります。そんないたいけな絵に私がしてやれる事は、白くなった部分にもう一度見合った色を差し、全体を見ながら一枚の絵としてのバランスをとってやること。8割がた出来上がっていたので、私はちょっと手を入れただけですが、アジサイがやわらかく咲いてくれました。

 

それからやっと本題のオリーブオイルの瓶へ。前回の円柱の描き方の応用ですが、今回はガラスにまどわされ、形を取り違えやすかったようです。ガラスはものが写りこんだり、形を歪んで見せたりしますが、触ってみると、どこがへこみ、どこから形が変わるのかが分かることもあります。わからなくなると、私が参考に描いた絵を『参考』にしようとする人もいるので、「私の絵ではなく、実物をよく見てくださいね!」と言っています。

3次元のものを2次元に直すというのは案外大変なことなので、もう2次元にしてあるものを写したくなる気持ちは、よーくわかるのですが、そこがデッサンの勉強でして…。

また、ラベルの文字を描くのが大変だからと、びんの裏側を正面にして描いている人が多かったです。でも、慣れるとラベルのイラストを写したりするのが楽しくなってくるはず。いつかまたこんな課題がでたときは、ラベルを描きたがるようになっているかもしれませんね!

 

着彩で下塗り~描写に入りかけたくらいで時間が来てしまいました。次回は描写の続きからです。ガラスの質感や、透けて見えるオイルを描いていきます。

それが終わったら、一度しっかりと鉛筆デッサンをやってみようかと。鉛筆で、一番濃い黒から一番うすい黒までフルに使って形をとらえるというのをやってみたいと思います。発見が多いはずですよ!

モチーフは、「白くて形が複雑なもの」がいいかなと、今考えているところです。

 

アトリエの後、雨だからさっさと帰ればいいものを、なんとなくあまのじゃくなことをしたくなり、近くのショッピングモールへ。カバンの中に本もあることだし(たいてい何かしら入っています)、たまにはカフェでのんびりするのもいいなと思い、スターバックスに寄ることに。

何の気なしに見やった店先で、人魚のマグカップを発見!スターバックスのトレードマークの人魚を、もっとリアルに描いたバージョンです。シックでいいなと思ってみていたら、店員が「それはサイレーンっていうんですよ」と話しかけてきました。すでにオデュッセイアやウンディーネなどの人魚伝説をいくつか思い浮かべていた私は、「そうですか」とにこやかに返事をしつつ、内心、私の方がきっとサイレーン(セイレーン)については詳しいだろうなぁ、と思っていました。まさか店員さんも、目の前の相手がそんなマニアックな幻獣好きとは夢にも思わなかったでしょうね。

 

セイレーンの柄と、たっぷり入りそうなところが気に入り、マグカップを購入。

マイ・マグカップを持って行くと飲み物が安く買えるというので、スターバックス・ラテを注文してそのマグカップに入れてもらいました。20円引き。

 

窓際のカウンターを陣取り、夜の雨の景色を眺めながらコーヒーを飲み、ひといき。そのうちカバンから出した小さなクロッキー帳でスケッチをして遊びはじめました。

カウンターの上のマグカップと、読みかけの本『閑吟集を読む(馬場あき子著)』、”画中画”になったクロッキー帳、外の風景…。

ペン一本と紙一枚で楽しめるなんて、やっぱり絵はいいですね。

ひとりでいることを楽しみながら人のざわめきも感じていられる、カフェという空間もやっぱり好きだなぁと思いながら、お絵かきを楽しんだのでした。

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コメント: 2
  • #1

    ボッコちゃん (金曜日, 18 10月 2013 21:38)

    アトリエの記事を読むと絵を描くのって随分難しいんだなと思いました。今頃わかった?と言われそうですね。こちらにスタバはありません。コーヒーの産地と言えども輸出が主だったようで一般の人はチョコラテと言ってココアを飲んでいます。コーヒーを飲み始めたのは最近らしいです。お砂糖を入れて飲んでいる人が多いです。お店によってはすでにお砂糖入りで出てくることもあります。大手のコーヒー豆の会社がカフェを出していてはやっていますが高いです。雰囲気の良い静かな喫茶店があったら良いのにと思います。

  • #2

    nana (金曜日, 22 11月 2013 02:14)

    「今頃わかった?」なんて偉そうに言ってみたいけど、私もまだわかってないところが多いから言えないわ。時々、また別の難しさに気づいて、「絵を描くってこんなに難しかったんだ」と再認識させられたりして。
    雰囲気の良いカフェ、近くに欲しいものですよね。私の理想は、低くクラシックが流れてて、少し照明が暗め、建物も家具も古くてどっしり落ち着いていて、コーヒーだけでなく紅茶もおいしいし、客も静かなお店です。店主がちょっとひとひねりある人だと、なお良し。