今月も骨董市に行ってきました。今回も収穫がいくつかありましたが、なんといっても掘り出し物は、石のブックエンドです!
ガラクタと骨董と入り混じっているお店で出会ったのですが、一目で「おおっ」と惹かれたのです。L字の部分は石で出来ていて、本を模したデザインが洒落ているし、白い馬の胸像がゴージャスです。この馬の部分は石ではなさそうですが、かといって型に流したような継ぎ目もありません。(型から出した後でコーティング?)それでも鼻筋に浮いた血管まで細かく作りこまれ、見ごたえがあります。
一見して良い品だし、こういうのが好きな人もいるはず。なのに昼近くなってもまだ売れていないということは、きっと値段が高いのだろうと思いつつ、おそるおそる値段を尋ねてみると…。
「ああ、それ。2500円」 ……パードゥン?
1万円くらいかと思っていたのに、拍子抜けするお値段です。お店のおじさんは「重たいから、今日はもう持って帰りたくないんだよね」などといい、もはや邪魔者扱いしています。”もしかして、これはもっと安くなる?”と思って、「もう少しお安くなりますか?」と言ってみます。すでに”これは買いだわ!”なんて思っているとは見せず、ポーカーフェイスでこういうセリフがさらりと言えるようになったあたり、だいぶ骨董市の客としてのレベルが上がってきているようです。2200円になりました!
交渉成立、私は素敵なブックエンドを驚くべき値段で手に入れたのでした。
「重いから、ほんと気を付けてよね」と言われながら品物を受け取り、車へと運びます。本当に重く、袋が指に食い込みます。でも”重くても、馬を2頭買ったと考えれば軽いもの!1頭1100円なんて破格だけど、いい馬だったわ!”なんて考えながら歩けば、全く苦になりません。
家に帰って、布でほこりを取りながら、馬につけるべき名前を考えました。よくブックエンドにはアルファベットのAとZが書いてあります。それを見るにつけ、“私ならΑ(アルファ)とΩ(オメガ)にするのにな”といつも思っていました。『ΑとΩ』には、『始まりから終わりまで』という意味があり、転じて『すべて』を表します。『本』というものの深遠な世界を称えるのに、ぴったりではありませんか!
私は2頭の馬に、アルファとオメガという名前を与えました。
それにしても、思いがけずいい品を手に入れてしまったものです。まるで私を待っていたみたいに、だれにも買われずにそこにいてくれたし…と考えているうちに、だんだん単に運がよかっただけとは思えなくなってきました。
もしも『本の神様』という方がおわすのならば、その神様が私に「さぁもっと読みなさい」と、祝福の意味を込めてこのブックエンドと出会わせてくれたのではないかと思えてくるのです。ああ、この2頭の馬に何の本を守らせよう!
“神様、有難うございます。少し早い誕生日プレゼントと思って、謹んで頂きます。
私はきっと、この馬たちに守らせる価値のある良質な本を、これからもたくさん読んでまいります。
アルファとオメガに励まされつつ、これからの秋、夜長の読書のひとときを感謝とともに味わいたいと存じます” と、見たことも聞いたこともない『本の神様』に誓ったのでした。
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ボッコちゃん (火曜日, 17 9月 2013 07:20)
ずいぶん重そうなブックエンドですこと!写真を拡大して馬の顔をまじまじと見てしまいました。お気に入りを手にいれてハイテンションの奈々さんの姿が目に浮かびます。書斎での作家の写真が雑誌などに出ているとその人より後ろの本棚の蔵書が気になります。何とかしてタイトルを読もうとしたり。自分と同じ本を持っていると親近感が湧いたりね。私にはいないけど奈々さんには本の神様がおいでになるのですね。
nana (水曜日, 18 9月 2013 14:02)
ボッコちゃん:作家の写真で、作家本人よりも本棚が気になるというそのお気持ち、全く同感です!!写真に目を凝らし、タイトルが読めなくても「装丁からしてあの本か?」と、つい推測してしまったり。「あの作家の影響を受けてそう」と思っていた作家の本が写っていたりすると、「あ、やっぱり好きなんだ!」とにやりとするし、私の好きな本があると「おお、あの良さがわかる人なのね!」と嬉しくなったり。
私は、古本屋さんでずっと探していた本とめぐりあえた時も、本の神様を信じたくなります。ここは日本、八百万の神々がおはす国ですから、本の神様だって、きっと…?