モンセラーテ編

首都ボゴタの町から山のほうを見上げると、頂上に教会らしい建物が見える山が2つあります。そのひとつがモンセラーテ。

コロンビアはカトリックの国で、人々の信仰が篤いことはクリスマスをみていてわかりましたが、年末年始にも教会に詣でる習慣があるようです。中でもモンセラーテにはたくさんの人が巡礼に訪れるとか。私たちも行ってみることにしました。

 

モンセラーテへ行くには、ふもとから出ているロープウェイかケーブルカーに乗る、または巡礼の道を歩いて登るかの、ふたつの方法があります。

ボゴタ市の標高は2600メートル。それからさらに、山の上まで500メートルなので、頂上は3100メートルにもなります。歩いて登ったらとても息が持ちそうにないので、私たちはケーブルカーに乗ることしました。

 

「年末年始は混むよ」と聞いてはいたものの、最寄りののトランスミレニオ(専用レーンを走る路線バス)の駅に着くと、すでにたくさんの人がいました。家族連れが多く、だれもがふもとを目指して、坂になった長い道を上っていきます。道の両側に山に登る人をあてこんで、ビニールシートの上にミネラルウォーターや日除けの帽子などを並べて売っています。こんなところで買う人がいるのかなと思うと、近くを歩いていたおじいさんが、お店の人に話しかけて帽子を選び始めました。一応は売れるんだな、と感心しました。

 

ケーブルカーの駅は混んでいて、車内もぎゅうぎゅうでしたが、山手線のラッシュよりはずっとマシです。ケーブルカーが動きだすと、ボゴタ市内が見渡せるようになり、車内のあちこちから歓声が上がります。

ケーブルカーを降りてからも、また歩いて頂上をめざします。酸素が薄くて息が上がり、ゆっくりしか歩けません。時々足を止めて息を整えなければなりませんでした。市内より気温が低いのもよくわかります。

 

頂上に着くとすでにたくさんの人が集まっていました。ちょうどミサをやっているようだったので、あまり教会の奥には入らず、前の広場から風景を眺めてひと休み。

青く見える山々がそびえ、その間に白や茶色の建物がびっしりと建っています。ボゴタは大阪府と同じくらいの人口がある大都市と聞いてはいましたが、こうして上から眺めるとその規模が実感できます。

ガラスのピラミッドみたいな県庁の建物を探し、それを目印に凹太さん夫妻の住むマンションを発見することに成功!

「ああ、一時間くらい前にはあそこにいて、ここまではるばる上って来たのね」と思うと不思議。

私たちはケーブルカーで楽に上ってきましたが、巡礼の意味を重んじる人は、うねうねと蛇行する巡礼の道を歩いて登ってきます。健康・健脚なひとばかりでなく、ぜいぜい息をつきながら、石畳の道をやっとやっと上ってくるお年寄りや、小さな子供を連れた夫婦などもいて、かなりのきつそうです。

 

市内が背景になるように記念写真を撮っていると、視線を感じました。振り向くと、石段に座った少年ふたりが、まさに”目を真ん丸にして”、”穴のあくほど”こちらを見つめているではありませんか…!

コロンビアでは東洋人が珍しいので、子供などは特にじぃーっとこちらを見てきたりすることがあるのですが、こんなに穴が開くほど見られると照れます。

当然ながら目が合ってしまったので、ちょっと笑いかけると、むこうも照れたらしくパッと目を逸らします。それでも見たい気持ちに負けたらしく、おずおずと顔を上げ、またじぃーっと見つめてきます。二人とも同じことをしてくるので、「兄弟ってこんなに似るものなのかー」とおかしく思いました。

隣にいる母親らしい人に、「チナ(中国人)かな?」と聞いているのがわかったので、「チナじゃないよ、ハポネッサ(日本人)だよ」と言うと、嬉しそうに「ハポネッサだって!」と報告していました。

そ、その目のくもりなさがまぶしい…!こちらの子供は純真そうですれていないところが、本当にかわいいです。

 

少年たちと別れ、お土産物屋さんを冷やかしつつ奥へ抜け、山の反対側の景色が見える展望スペースへ。岩がごろごろしている地面に、座りよいところを見つけて、昼食を食べている家族連れもいます。

赤道が近く、標高も高いだけあって、日差しが直に降り注ぎ、焼かれる感じがします。目もちかちかするので、ざっと風景を見て、退散することに。食べ物屋さんが並んだところを冷やかしつつ戻ります。この時期に食べるものなのか、いつもあるのかわかりませんが、見ているだけで胃が重たくなる、鶏肉の丸焼きのようなものが、通路から見えるようにディスプレイされ、食堂の中でもたくさん食べられていました。

 

ケーブルカーに再び乗り、ふもとに下ります。やはり空気の濃さも気温も、500メートルでずいぶんと違うようでした。駅にはまだまだこれからモンセラーテへ巡礼しようという人がたくさんいて、にぎやかです。

日本の初詣とはまた趣が違いますが、”年の変わり目に神殿に詣でる”というコンセプトは同じであることに気が付いて、面白く感じました。

 

 

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コメント: 2
  • #1

    ボッコちゃん (水曜日, 24 4月 2013 12:57)

    モンセラーテ山はボゴタの町が一望出来て好きな場所です。山登りは苦手ですが、ケーブルカーやロープウェーで登れるので超楽ちんです。普段はケーブルカーかロープウェーかどちらか一方が動いているのですが、さすがに年末年始は人が多いので、両方運転されていました。また、アパートの近くからモンセラーテ山の頂上にある教会が見えます。こちらも綺麗で好きです。

  • #2

    nana (金曜日, 26 4月 2013 21:10)

    ボッコちゃん:アパートの近くから見たモンセラーテの写真を現像しました。どこかに飾って、お二人のいるコロンビアを偲ぼうかと思っています。