チョリソー屋さん

ビジャ・デ・レイバからまた車に乗り、岩だらけの荒れ地や藪を眺めながら、ラキラに向かいます。凹太さんの研究対象であるフィケという植物が、私の背よりも長い、巨大な葉を空に伸ばしている姿が時々目に入ります。繊維を採るために栽培もされていますが、野生のフィケが荒野で育っている姿もまた、たくましい。

 

途中で小さな町に差しかかりました。道路わきに人が集まっていて、バーベキューをしているような煙が上がっています。最初は家族でバーベキューをしているのかと思ったけれど、煙はあちこちで上がっているし、人も家族というには多すぎる。なんだか違うみたい? と思っていると、運転手さんが

「このあたりはチョリソー(ソーセージ)が有名なんだよ。ああいう店で焼き立てを食べられるんだ」とうきうきした様子で教えてくれました。くびれを作らずに肉を腸詰めした、1本が1.5メートルほどあるチョリソーが吊るされているのを指さして、「特にあれが名物なんだ!」と言います。ちょっと味見して行こう、ということに。

 

建物の中にも外にもたくさんテーブルが並べられていますが、チョリソーとともにセルベッサ(ビールのこと)を飲み、わいわいおしゃべりしているお客さんでいっぱい!

店の外、道路からよく見えるところでチョリソーのほか、豚肉、鶏肉、ジャガイモなどがせっせと焼かれていきます。あたり一帯、焼いたチョリソーのいいにおい。

焼いている人に言うと、つまようじ(コロンビアにもある。ただし日本と違って両側が尖っている)に一口刺して、試食用に渡してくれます。あつあつのにかじりつくと、豚肉そのものの味がしっかりと出ていて、おいしい! 粗目のミンチで作っているらしく、食感にも弾力があります。

 

昼食を軽く食べた後だったので、飲み物と、チョリソーや焼いた肉などの盛り合わせを一皿頼んで、みんなでシェアしようということになりました。マンゴージュースなどをちびちび飲みながら待つことしばし。長いチョリソーを適当な長さに切ったもの、レバーと米が入った黒い腸詰、鶏肉、ジャガイモ、とうもろこし、調理用バナナのつぶして焼いたものなどが載った皿が来ました。ひとりひとりに、小皿とナイフとフォークも用意してくれました。

チョリソーもほかの肉類も、とってもおいしい!お肉自体のおいしさがぎゅっと詰まったような味わいです。放牧をして新鮮な草を食べさせているからなのか、お肉はかすかに草の風味が感じられる気がします。素朴だけれど、間違いなく今まで食べたチョリソーで一番おいしい!

 

またトウモロコシもコロンビアのものは粒が大きく、甘くもなく、もそもそした食感で、日本のとは全くの別物。ぷりっとして甘いとうもろこしを食べなれた日本人にはあまり評判がよくなさそうです。私も初めて食べたときは豆に近い味と食感にびっくりしましたが、これはこれでなかなかいいじゃない?とすぐ慣れました。今回は油で焼いてあるので、固いポップコーンのような感じで、カリカリしていました。

 

調理用バナナは甘くなく、少し青いバナナの味がします。滞在中に何度かこのバナナを焼いたものを食べましたが、見た目通りの素朴な味。でも、特に印象的というわけでもないこういう味が、意外とずっと後になって旅を振り返るとき、懐かしくなったりするものです。

 

付け合せのジャガイモは直径2~3センチの品種で、ほくほくしていてこれも美味。ちょいちょいとつまんでいると、運転手さんが

「ジャガイモっていうのはこのあたりが原産だから、コロンビアのジャガイモはすごくおいしいんだよ」とお国自慢(?)をします。 まるで南米でも、コロンビアのジャガイモだけがおいしいかのような言い方です。

しかし、そのおいしさはすでによーく知っていたので同意したところ、彼は非常に喜び、

「そうだろう?ほら、もっと食べなよ!」と皿のジャガイモを選り分けてこちらに寄越してきたので、それもいくつか食べました。

 

そして食後、ふらっとどこかに行ったと思ったら、また試食用のつまようじにジャガイモを刺したものを持ってきて、お会計をしているほかの人たちから隠すようにして

「内緒だよ!これは君に!」と言って私にくれました。正直なところもう満腹だったのですが、その気持ちが嬉しいやらおかしいやらで、お礼を言って頂きました。

飄々としていて常にマイペース、それが教会に着くと突然敬虔なクリスチャンになるのに驚かされましたが、茶目っ気たっぷりでとってもチャーミングな運転手さんでした。

 

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コメント: 3
  • #1

    ボッコちゃん (金曜日, 08 3月 2013 22:43)

    ジャガイモは種類が沢山あるようですが、スーパーで良く見かけるのは3種類。煮崩れしないサバネラ、崩れやすいパスツラ、黄色くて小粒のクリオジャ。こちらの人はこれらを合わせてスープに使ったりしています。入れるだけでポタージュのようになりますから。ソーセージが美味しかったので、お店でも美味しい生ソーセージを探すようになりました。ただフライパンで焼くだけでは、もうもうとした煙が出なくて、あの時の感動はありませんでした。

  • #2

    凹太 (土曜日, 09 3月 2013 10:16)

    盛り合わせを一皿頼んだというと、たいした量ではないと思うでしょが、それが日本の2,3皿分の量でしょうね。お腹が一杯だったのでお印だけ食べようと考えていたのに、食べたらおいしくて久々に満腹以上に食べてしまいました。生ジュースも美味。でも、少し反省。大型の野良犬が人のこぼしたものを拾い、骨をもらったりして、尻尾を振って嬉しそうでした。良い場所に住んでいますね。

  • #3

    nana (金曜日, 26 4月 2013 21:20)

    ボッコちゃん:どれもおいしいけれど、私はクリオジャがとても気に入りました。ころころと小さくて、切る必要もないし、ほくほくしていておいしいし。ただ、買ってすぐ芽が出てくるのはなぜなのでしょうね?

    凹太さん:日本人の2~3人分の量をコロンビア人は女性でもぺろりと食べていたりするのでびっくりしました。お肉はよく食べるのに、野菜はほとんど食べないし。
    チョリソー屋さんにいた犬たちは骨をかじってご機嫌でしたね!ほんとに良いところに住んでいるものです。