カルタヘナ編2:クリスマス会

カルタヘナには、凹太さん夫婦の知り合いが3人も、青年海外協力隊員として働いています。旅行中はセントロを案内してもらったり、一緒に食事をしながらお仕事の話をお聞きしたりと、とてもお世話になりました。

その3人のうちのひとりTさんが、「私がお世話をしている子供たちの劇を見に来ませんか」と誘ってくださったので、(どんな劇なのかはわからないけど)行ってみることにしました。

 

その施設は、貧しい人々が住む地域にありました。コロンビアの学校は午前と午後の二部制で、午前中に学校に行く子供は午後が、午後に学校に行く子供は午前中が暇になります。何もすることがなく放置されている子供たちは犯罪や薬物に走ったりすることも多いらしく、逆にその時間を使って、貧しい家の子供たちに音楽や工作などを教えたり、時に性教育などをしていこうというプロジェクトがあるのだそうです。

 

急に訪問して迷惑がられないかと不安でしたが、職員の方たちは歓迎してくださり、「さあさあ、どうぞ!」とばかりに子供たちのいる部屋へと案内してくれました。(コロンビア人は、日本人の感覚からは信じられないほどフレンドリーです)

行ってみると、大きな部屋にサンタクロースの帽子をかぶった子供たちがたくさん!

Tさんとは交流があるので日本人には慣れているかと思ったのですが、やはりもの珍しそうにこちらを見ています。ものすごい視線。

じーっと見つめているのに、こちらと目が合うと照れてぱっと目を逸らします。なのに、すぐにまた、こちらをじーっと見ているのです。目がきらきらしています。

 

クリスマス会が始まりました。(スペインの影響で、コロンビアはほとんどの人がキリスト教徒(カトリック)で、学校でも宗教の時間があるそうです。)

3人ほどの大人たちが次々にあいさつを述べていきます。”ああそうだ、学校行事ってそういうものだった。これをやり過ごさないと次が始まらないんだよな。”と久々に学校の空気を味わいました。スペイン語がわからないので、余計長く感じるのかもしれませんが。

 

「劇」というのは、キリストの生誕の劇でした。役者になった子供たちは、本格的な衣装を着て嬉しそうです。着ているだけで可愛いけれど、おすまししていたり格好つけたりしていて、それがまた微笑ましい。

劇の中で天使が進み出て、飼い葉おけの中に布に包まれた赤ちゃんの人形(キリスト)を置きます。「まだこの子たちは、赤ちゃんは天使がさずけてくれるものだと信じているので」とTさんが教えてくれました。

 

パーカッションとリコーダーによるクリスマスソングの合奏もありました。コロンビアの学校では音楽教育がほとんどなく、楽器を触るのはこれが初めてという子もたくさんいたそうです。みんなよく練習してきていて、クリスマスソングを5曲くらい、すべて暗譜で吹いていました。(もしかしたら楽譜でなく耳で覚えたせいかもしれませんが)

出し物がすべて終わると、子供たちがそわそわし始めました。そう、これからお待ちかねのプレゼントがもらえるのです。

プレゼントはこの活動を応援している企業などが提供していて、ボードゲームやサッカーボールなどのおもちゃが配られますが、どうもひとりひとり名前を呼んで渡しているところを見ると、その子にあわせたものを渡しているようでした。

 

プレゼントを渡すのに時間がかかり、暇になると、子供たちがこちらに集まってきました。「折り紙を教えて!」「鶴以外でなにか作ってよ」と言っているらしいのがなんとなくわかりましたが、折り紙なんて、いつ以来でしょう。日本的なものだとわからないかもしれないから、「トトロ」はダメだし…と、頭の中をひっかきまわし、思いついた「バラ」「箱」、それから3枚を組み合わせて作る立体のパズルのようなものを作りました。鶴だけしか知らなかったようで、私が折るのをじっと観察し、形ができるたびに目を丸くして喜ぶのが面白くて、つい頑張ってしまいました。

 

それにしても、この子たちの目の澄んでいること、きらきらしていること。

日本の子供たちの暗い表情を思い出します。物質的には豊かでも、他愛ないことで笑うことが苦手で、人よりも機械とばかり遊び、好奇心に目を輝かすことがほとんどない。もちろん全員ではないけれど、なんだか、ちいさいうちから擦れている子が多い気がします。

 

でも今ここにいる子供たちは、非常に貧しくて、犯罪の多い地域に生まれたけれども、まっすぐな眼差しをしていて、いつも好奇心に目を輝かせているし、ちょっとしたことに素直に驚いたり喜んだりして、擦れた感じがしない。とても純粋な感じがします。

「そう、これが子供というものよね」と、(子供を侮っているわけではなく、心底そう思って)、思わずほっとしてしまうくらいです。

 

また大人も、人と集まって大いに食べ、飲み、踊って、楽しく過ごすために月曜から金曜まで働くのだ、とコロンビア人は考えていると言います。それが幸せ、生きがいというものだ、と。

どちらがはたして豊かなのか。そもそも、豊かさってなんだろう。…子供たちと過ごせてとても楽しかったけれど、色々と考えさせられた一日でした。

 

 

 

 

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コメント: 3
  • #1

    凹太 (月曜日, 21 1月 2013 10:28)

    本当にそうです。何が幸せなのでしょうか?お金や物ではありません。それも無いと困りますが、もっと大事なものが、、ゆっくり考えたいと思います。ところで、凹太の知り合いの隊員たちは元気で、頼りがいがあり、気配りもあり、なかなかいい人たちでしょう。そんな人たちと出会えて幸せです。子供たちが本当に無邪気でかわいかった!!!もっと遊びたかった。子供に遊んでもらった凹太。

  • #2

    ボッコちゃん (水曜日, 23 1月 2013 00:12)

    普通の観光ではない所をとセッティングしてくれたTさんに感謝です。クリスマス会は楽しかったし、興味深かったです。劇で使われていた衣装など毎年使い回しているのでしょうがとても良く出来ていました。貧富の差が有りすぎるコロンビアですが、この子達が希望を持って生きていける社会のシステムが出来る事を祈らずにはいられません。

  • #3

    nana (月曜日, 28 1月 2013 21:13)

    凹太さん、
    青年海外協力隊も、シニアの人たちも、独特の雰囲気がありますね。前向きでガッツのある人ばかりだし、話題が豊富で話していても楽しいです。同年代の人たちが、大変な目にもあったりしているのに、それでも生き生きと活動している姿を見て、刺激されました。お会いできて、とても良かったです!

    ボッコちゃん、
    本当に衣装はよく出来ていました。どうやって調達しているのでしょう。
    生まれた地域・家庭によって、将来の職業が決まってしまうのではなくて、努力次第で何にでもなれる社会であれば、貧しい子供たちも希望が持てるのですが…社会の仕組みを変えるのは、難しいことですね。あの目の輝きが消えてしまわないようにと願っています。