私がコロンビアにやってくるのに合わせて、凹太さんとボッコちゃんが国内旅行の計画を立ておいてくれました。首都ボゴタについて早々に、国内線で北に飛んで、カルタヘナへ。
カルタヘナは、コロンビアの北端の地域にあり、カリブ海に面した港町。標高も低いので、ボゴタとは一転して常夏の町で、観光地としても有名です。
道の端ではマンゴーやパパイヤ、ココナッツなどのトロピカルフルーツを山盛りにし、その場でジュースにして売っていたり、お土産物の民芸品やアクセサリーを売る店が並んでいたりします。
市内には治安の悪い地域もありますが、中心街(セントロ)は観光地なので比較的安全なのだとか。確かにスリや物取りには注意が必要なものの、歩行者たちにぴりぴりした緊張感は見られません。
セントロにはスペイン植民時代の面影を残す、コロニアル様式の建物が通りに沿ってずらりと並んでいます。通りから見ると一軒一軒が小さく見えますが、パティオ(スペイン風の中庭)を擁する、奥に長い造りになっていて、入ってみると案外広いのに驚きます。
壁や窓の格子の色が鮮やかなコントラストを成しているコロニアル様式の街並みに、ブーゲンビリアなどの南国の花々が咲き乱れ、天からは強烈な日差しが差しこみます。
ああ、見知らぬ遠い土地に来たのだなという実感が湧いてきて、わくわくします。
通りに面した大きな扉にはたいていドアノッカーが付けられていましたが、そのデザインはオーソドックスなものもありますが、なぜかトカゲが断トツで多くてびっくりしました。面白いので、街を歩きながらドアノッカーを観察していましたが、一度だけ人魚のデザインを発見!これがマイベストでした。
ちなみに、建物には2.5メートルもありそうな大きいドアが付いているものの、それは滅多に開けることはなく、ドアノッカーを叩くと、家の人が近くの窓から誰が来たのか確認し、大きなドアの一部をくりぬいて作られた(!)小さなドアを開けてくれるというのが普通です。
カルタヘナは、コロンビアの膨大な金を狙ってやってくる海賊や海外の艦隊などから国を守る要塞として、重要な役割を担ってきた歴史があります。今はもうその役割を終えましたが、セントロはぐるりと石の城壁に囲まれていて、その上を歩くことができます。
夕涼みにはもってこいの場所で、夕日が沈むのを見ながら散策しました。
ひときわ広く造られた部分では、観光客も地元の人もビールを楽しめる、オープンカフェのような造りの酒場が営業していました。でもここにも、見張りが立つ低い灯台のような形の石の小屋などが残されていて、壁には大砲を設置するための切り込みがあります。
セントロから少し行ったところには、「カスティージョ(城)」と呼ばれている巨大な城塞があります。海賊や他国(特にイギリス艦隊)から国を守る要所となった城塞で、大砲を備えた砦や城壁を作り、年月をかけて拡大していったもののようです。今ではここも観光地となっています。
山と城が一体化したような造りに、スコットランドのエディンバラ城を思い出しますが、もっと素朴な印象。飾り気や権力誇示というものからは無縁な、実用一辺倒の石の砦です。なぜか、地面につきそうなほど巨大なコロンビアの国旗がはためいている他は、およそ飾りらしいものはありません。
この城塞の歴史を紹介するビデオを見て、暗い石の通路を探検したところで、ひと休み。ちょうど市街を一望できるベンチを日陰に見つけたので、そこに腰かけて街を眺めながら涼み、のんびりしました。見える風景から、あれが昨日行った教会だ!などと知っている場所を探すのは楽しいものです。
風が気持ちよく、なんとなくだらだらとそこに留まっている私たちの耳に、城のどこかから観光客相手に吹いているらしい、へたくそなトロンボーンの音が聞こえてきました。
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凹太 (月曜日, 21 1月 2013 10:18)
高校生の時にカルタヘナの城塞を知り見たいと思っていましたので、最高でした。これだけの物を作るだけ価値のある金を原住民から奪い、英国の攻撃に備えるため、奴隷を使い作ったと思うと感無量です。考えようによっては、今はまだ平和な住みやすい時代なのかもしれません。
ボッコちゃん (水曜日, 23 1月 2013 00:36)
凹太さんは随分昔にカルタヘナを知っていたようですが、私はコロンビアに来てからです。(地理の授業でやったとすれば、私は寝ていたのか?)
涼しいボゴタに慣れていたので、この暑さは衝撃でした。南国に来た~!
という感じです。ボランティアの方達に仕事の合間を縫って案内していただき、効率良く観光出来ました。夜、野外で食事しながら見たコロンビアのプロの踊りは動きが激しくて圧巻でした。ルーツはアフリカなのかな。
そんな感じの踊りでした。
nana (月曜日, 28 1月 2013 21:28)
凹太さん、
高校の時から憧れていた地に、まさかこんな形で来ることになるとは驚きですね。
私は奴隷というものを身近に感じたことがありませんでしたが、セントロの入り口のところで、「ここは昔、奴隷市だったんですよ」と聞いた時には、すっと肌が冷える感じがしました。その光景が幻視できそうなほどでした。
ボッコちゃん、
ああ、服を激しく翻しながら踊っていたダンスですね。エネルギッシュで躍動感たっぷりで、圧巻でした。
本当に、コロンビアはいろんな人種・文化がミックスした国ですよね!混沌としているけれど、それなりに溶け合い、バランスをとろうとしているところが面白いです。