今年は夏が長く、急に寒くなったので紅葉が綺麗なのだとか。
なかなか行けなかったのですが、昨日ようやく成田山の紅葉を見に行ってきました。
少し盛りが過ぎてしまい、葉がだいぶ落ちていましたが、それでもまだまだ綺麗でした。
いつかこういう風景も描いてみたいものです。
さて、だんだんと寒さが増してきて、11月24日には初霜も降りました。
新聞を取ろうと家から出ると、庭中が霜でうっすらと白くなっていました。日が当たっているところは霜の結晶に太陽が反射してきらきらとしています。「わ、初霜!」と思わず声を上げた瞬間ぱっと思い浮かんだのは、
こころあてにおらばやおらむ初霜のおきまどはせるしらぎくの花
凡河内躬恒(おおしかうちのみつね)の歌で、頭の中の引き出しに今年新設されたばかりの一段、『百人一首の段』から出てきた模様。
うちの庭の菊は白菊ではないものの、この歌に詠まれた光景が重なります。
白菊と霜の、競い合うかのような清楚で気品のある美しさ、そして冷たく澄みきった清冽な冬の早朝の空気……そういったものを、今自分が作者と共有しているような気がしました。まるで、そばに並んで立っているような。
おいしいものよりも、欲しかったものを買うよりも、私はこういう時に「生きていてよかった!」と思います。
梅の時期には梅の、桜の時期には桜の下で、その花に関係した詩歌を思い浮かべたり、くちずさんだりしながら、花を眺めたり辺りを歩き回ったりするのが好きです。邪道かもしれませんが、短歌や俳句といったジャンルや時代の壁を無視して、思いつくまま引き出してきて味わうのが習慣になっています。
今回もそうして自然と「こころあてに…」の後に続く歌を口ずさもうとしたのですが、次が続きません。何かあるだろうと思って、頭の中の引き出しを引っ掻き回しましたが、どうしても見つからないのです。夜の霜や朝露ならありましたが、初霜あるいは朝の霜を詠んだ歌がどうしても出てきません。
”え、嘘!まさか、ひとつも見つからないっていうの?”と、ひとりで動揺。
まだまだ詩歌のストックが足りていないのね、とがっかり。来年の初霜の日には、もっとストックが増えているといいのですが、さてどうでしょう。
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ボッコちゃん (火曜日, 04 12月 2012 00:13)
私は美味しい物を食べた時、欲しい物を買った時、生きていて良かったと心底思いますが、そういう人間どう思われます?(人生半分損してる?)こちらは一年中秋なので、霜は降りませんが、最近二日続けて雹が降りました。外にいたら大変でしょうが、窓ガラスに打ち付ける小さな雹の塊を見たり、バチバチと乾いた音を聞いたりは好きでした。
凹太 (火曜日, 04 12月 2012 08:42)
霜でいつもとちょっと違った庭になる、ピリリとした寒さ、紅葉、いいですね。日本の良い所は季節の移ろいです。虫の声に代わり、ヒヨドリや百舌鳥の甲高い声がすることでしょう。今何月と聞かれても解らない所に住んでいる凹太には羨ましいです。(今だけはクリスマスの飾りがあるので12月とわかります)
天ママ (水曜日, 05 12月 2012 21:44)
先日は、公園のギャラリーで作品を見せて
頂きありがとうございました。
また、今日はポストに素敵なカードが届き
嬉しくなりました。
天くんとまたお逢いできることを楽しみに
しています。
寒くなりましたね。
お風邪ひかないように・・・。
nana (土曜日, 08 12月 2012 13:11)
天ママさん:
コメント有難うございました!
本当に急に冷え込んできました。私にも、天くんのような毛皮があったらあったかいのでしょうね(笑)
私もまた天くんと天ママさんにお会いできることを楽しみにしております。絵の方はあと数日でできると思いますので、もうしばらくお待ちくださいね!
凹太さん:
日本は寒いけれど、空気が澄んできて星がよく見えるようになってきましたよ。庭に来る鳥にも、冬鳥が混じっています。
そちらはほんとうに季節がないんですね。四季に富んだ国に育ったせいか、やっぱり想像できません…。常夏は想像できるのに。
ボッコちゃん:
「そういう人間どう思われます?」とのご質問。…え、それはそれでいいのでは?
私もおいしいものを食べると感動しますし、欲しかったものを手に入れれば勿論嬉しいです。でも、何か感性に響くものに出会ったときには、「こういうものさえ身近にあれば私は生きていける!」と錯覚するほど感動するというだけで…つまり、私にとってはそれもご馳走のひとつというわけです。とびきりのご馳走、というか。
だからボッコちゃんが人生半分損してるだなんて全然思いませんよ!
きっと、美味しいミントチョコレートを食べて「歯磨き粉みたい」という人たちの方がよっぽど人生損してる、はず。