展示が終わりました

今年も無事に個展が終了いたしました。

去年は春の花を中心に展示し、今年は夏から秋の花を展示しておりましたが、毎年やるなら開催時期を固定した方が良さそうなので、来年度からは５月に開催したいと考えています。（ただ、その頃は希望者が多いようなので、もし展示室をお借りできたらの話ですが）

今年も、展示期間は６日間。

途中、大雨でご来訪者が少なく、読書がはかどってしまった日も。開催直前まで、なかなか終わらない絵を仕上げようと必死になったりなどして、一週間ほど読書を断っていたので、のどが渇いた旅人が施された水を夢中で飲むかのように、読み始めた途端にのめりこみました。

ちなみに読んでいたのは、難解なくせに先が気になる、独創的かつ緻密な設定の大人向けファンタジーです。（海外では評価が高いけれど、日本ではまだまだマイナーなこの作者の本を次々と翻訳とはなかなかいい仕事をするな、創元推理文庫！）

しかし、晴れた日には公園を散歩中にふらりと入ってこられる方もいらして、結局は多くの方に見ていただくことができ、ほっとしました。

去年、ご住所を書いてくださった方には案内状を差し上げたのですが、そうして来てくださった方が、まだ去年の絵を覚えていらっしゃるのには驚きました。

「去年あったコブシの絵だけど、」とか「森の絵があったよね」などと話しかけられるたびに、１年半も前に見た絵なのに印象に残っているなんて、と驚きと嬉しさの入り混じった気持ちになりました。

自然や植物が好きな方が植物画をじっくり見てくださるのは去年と同様ですが、日本画の方で今年特に反応があったのは、船の絵でしょうか。

以前、河川敷を散歩しているとき捨てられている船を見つけました。中には土や落ち葉が入っていて、外側もボロボロ。しかしなんだか心惹かれるものがあり、立ち止りました。そして、水の上で働くという船のあるべき姿を離れ、うっそうと茂る草木に埋もれて朽ちかけているというのに、妙に悟り澄ましたような様子なのに気が付きました。穏やかで静かで、この状況に満足しているようでさえあります。

”哀れな、と人は言うかもしれないが、これはこれで安住の地を見つけたと言えるのではないだろうか。”  そう思って描いた絵です。

「静かでいい」「落ち着く」「ずっと見ていられる」など、いろんなコメントを頂きましたが、中にはユニークなご意見も。曰く、「この絵は綺麗だし、いいと思うんだけど、この船は死に向かっている感じがする。そうではなくて、この絵が生に向かって漕ぎ出し、再出発する絵を描いてほしい。」

これは、船を擬人化した上で感情移入をしないと出てこない発想のように思いました。つまりこの方はこの船に感情移入してくれたわけで、私は思わず絵の中の船に「よかったねぇ」と心の中で話しかけてしまいました。

私はこの船に、滅びへの達観と、それを不思議な明るさで裏打ちする何かを感じて描いたのですが、なんとなくまだ出し切れていないものがある気がして、少々心残りです。出発する船は描くかわかりませんが、このテーマはもう少し練り直してみたい気もしています。

一応、まだ日時などは未定ですが、来年は春（できれば５月ごろ）にまた展示をしたいと思っています。今回と次回までの間だけ、ちょっと間隔が短くなってしまうのですが、せっせと絵を描きためて、次回に臨もうと思っています。

今回の展覧会を見に来てくださった方、そして今回は来られなかったけれどもいつも応援してくださっている方たちにも、心よりお礼を申し上げます。本当に有難うございました！