誕生花、とはだれが作った言葉なのでしょうか。広辞苑にも載っていません。
誰が最初に言い出した言葉かも私にはわかりませんが、そんな言葉でも当たり前のように使われているのだから不思議なものです。
誕生花の本も図書館に行けば何冊もあります。しかし妙なことに、本によって同じ日の誕生花が全く違うのです。どうやら誕生花は、大体その頃に咲く花を作者が選んで365日と結びつけた、お手製の花暦のようなもののようです。花言葉も、神話や伝説のない花は、花の見た目や効能などから作者がイメージした言葉がつけられているものが沢山あります。
たとえば私の誕生花。ある本では”クレマチス”で、花言葉が”心の美”。
わぁこれは素敵、と思いつつ違う本を見ると、”カンナ”で”南の誘惑”となっているという具合。花らしい花でない植物(イグサだったか)が充てられている本もあった気がします。
こうなったら、自分で好きなのを選んでしまおうと思い、たしか中学生の時、自分の誕生花をクレマチスに決めました。
先日、里山をふらふらと散歩していたら、仙人草(センニンソウ)の花がちょうど盛りでした。私の大好きな花のひとつで、日本画(船の絵)にも登場させたことがある花です。さっそく持ち歩いている園芸用ハサミで切りました。
去年は盛りを逃してしまったけど、今年はいちばん綺麗な時に見られて嬉しいなぁと思いつつ、帰りの道すがら手にした花を観察していると、何かに似ていることに気が付きました。
なんだかこの十字型の花の形、この葉の付き方に覚えあり。なんだっけ?と考えることしばし。
クレマチスだ!!と思い当りました。たしか、原種系のクレマチスでこれによく似たものが園芸店にあったはずです。
家に帰って調べてみたら、クレマチスもセンニンソウも同じ「きんぽうげ科」。広辞苑でクレマチスを調べるとずばり、「キンポウゲ科の観賞用蔓性多年草。広くはキンポウゲ科センニンソウ属植物で世界の温帯に約250種が分布」とありました。センニンソウは園芸品種のクレマチスの原種のひとつかと思われます。
これもクレマチスの一種か、と思ったところで自分の誕生花を思い出しました。
私は大きな紫色のクレマチスも好きですが、センニンソウの楚々としつつも決して下向きでない不思議な明るさや、凛としているのに冷たく感じさせない佇まいに惹かれます。花の色(正しくは花びらでなく萼片)も、ほのかに黄みを帯びた白で、どこか温かい。けれど人懐っこく媚びた感じもありません。
園芸品種のクレマチスには豪華絢爛な花が咲く品種がたくさんあり、よくバラと合わせて植えるコーディネートが紹介されているほど、華やかで存在感があります。さまざまな色や形があるだけに奥が深いし、好きだけれど、ちょっと立派すぎて私にはそぐわない。センニンソウの方がしっくり来る気がします。
というわけで、私は誕生花をセンニンソウにしてしまうことにしました。クレマチスのルーツであるのだし、そもそも誕生花はあまり根拠もなく決められているものばかりです。自分でこっそり決めて楽しんでいる分には、なんでもいいではないかと割り切ってしまいます。
ちなみに花言葉は「安全」、「無事」、「あふれるばかりの善意」、そして「心の美」だそうです。
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凹太 (木曜日, 13 9月 2012 09:37)
清楚な花だよね。日当たりの良い所に咲いていて、よく少し分けていただいたものです。この頃ふと、季節の変化とは有り難いもので、喜びを与えてくれると考えようになりました。それは、一年中、アジサイ、アガパンサス、ニワトコの木、ブーゲンビリアが咲いている所にいるからでしょうか。
ボッコちゃん (木曜日, 13 9月 2012 11:52)
お誕生日おめでとう。地球の反対側から、祝福のワインを開けました。なぜかチリのワインGato Negro(スペイン語で黒い猫)。
あなたの好きな黒猫がかわいく描いてありますよ。
nana (日曜日, 23 9月 2012 00:42)
凹太さん、そちらは季節がないところだそうですね。国内で標高差があるせいでいろんな果物が手に入るのはうらやましいですが。
あがっている植物はみな季節がばらばらに思えるのに同時に咲くとは驚きです。
ボッコちゃん、ありがとうございます!私の分まで乾杯しておいてください。
黒猫…ええ、好きですとも!どこにいても影のようなのがたまらなく好きです。エドワード・ゴ-リーも同じようなことを言っていたので親近感がわいた覚えがあります。シェパードと黒猫はいつか飼うつもりです。