スポーツの楽しみ

毎日届くオリンピックのニュースが世間をにぎわせている今日この頃。毎晩遅くまで観戦

して寝不足の方も多いのではないでしょうか。日ごろスポーツから離れている人までも、にわかにスポーツファンにしてしまうのがオリンピックの威力です。

 

ひとくちにスポーツの楽しみ方といっても、いろいろあります。

・全力で勝利を目指して競技をする。

・ひとりで孤独に体を鍛えるのが好きだ。

・結果を上げることより、仲間と和気あいあいと楽しみたい。

・体を動かした後のビールが何より。

・自分でやるより、サポーターとして応援に行きたい。

・コーラとカウチポテトをしっかり用意してテレビで観戦したい。

…などなど。

 

ちょっと変わり種としては、スケッチの材料にしてる知人がいます。肉体美を称賛してやまない彼女は、格闘技の試合を録画して、いいポーズがあると一時停止し、鉛筆を動かすのだとか。筋骨隆々としたギリシャ彫刻のような男性モデルなど、なかなかお目にかかれるものではなし、そこで格闘技とはいい着眼です。

 

そして私にも、最近楽しんでいるスポーツの新しい見方があります。それは選手たちの「身ぶり」や「手ぶり」の観察です。

一点決めた時のガッツポーズ、決まらなかったときの落胆のポーズはもちろん、審判に相手の反則を訴えるポーズや、逆に自分の無実を訴えるポーズなど、スポーツの試合中には様々なボディランゲージが飛び交っています。

サッカーなど広いフィールドを使うスポーツは特に、離れたところにいる審判たちや、遥か遠くの観客にまで届くよう、大げさに体を動かして表現してくれますし、カメラも選手をアップにして追ってくれるので、より観察しやすく、私のお気に入りです。

 

選手たちの身ぶり手ぶりによる感情や抗議の表明は、ほとんど統一されていて、スポーツに国境はないという言葉に納得。当然、どの文化圏でも同様の意味に使われている仕草が多く採用されています。

しかし、違う国の選手同士が同じルールを基盤として戦う以上、ボディランゲージもある程度の「共通語」を必要としたのでしょう。そしてそのボディランゲージの基準は、明らかに西洋諸国にあるようです。ヨーロッパの選手たちが流暢になんの抵抗もなく、アジアや中東の選手たちがぎこちなく、その共通語で何かを訴えている場面をよく見ます。

 

典型的なポーズをいくつかあげてみましょう。

得点したときによく見られるのは、

①片手を上げ(指を立てることも)観客にアピールする勝利のポーズ。

②胸をたたいたり、自分を指さしたり、ユニフォームを引っ張ったりして、「決めたのは俺だ!」と自分をアピールするポーズ。

③喜びを抱え込むようなガッツポーズ。

④両腕をかかげ、胸を張って叫ぶ。(動物的といってもいい仕草)

⑤芝生にキスしたり、両手を上げて空を仰いだりして、天(神)や地に感謝するポーズ。

 

失敗したり、相手に得点を許したときに見られるのは、

①頭を振る、抱える、うずくまる

②天を仰ぐ(ひざをついたり、両手を上げたりすることも)

③苛立ちを放出するように、腕や足を空中で振る。あるいは品のないサインをする。

④腰に手を当てて立ち、自分にも他人にも冷静さを示すポーズをとる

 

「おれは何もしてない」や「不当な審判だ」は、

①両腕を軽く伸ばして手のひらを天に向ける。(前から見ると「w」形)

②片手を胸にあてて、①をする。(胸に手を当てるのは、何かに「誓う」時にも取られる仕草。これはより強く自らの潔白を訴えるポーズになる)

ちなみに「悪いのは俺じゃない、あいつだ」は、胸に宛てていない方の手を「あいつ」の方に向けます。

 

観察していると、ボディランゲージというものは時代による変化があまり見られないことに気が付きます。探せば類似したものを、西洋絵画の中にたやすく発見できそうなポーズばかりです。観戦していると「あ、このポーズ、みたことある!」というポーズによく出会いますが、どこで見たかと思うとたいてい画集の中です。例えばカラバッジョ、ティツィアーノ、ミケランジェロ…。

 

西洋美術とスポーツとを関連付けて楽しめる、このスポーツの新しい見方は、あまりにマニアックで、一緒に楽しめそうな人が少ないのがちょっと残念。

それでも、ひとりで十分楽しんでおりますが。次の試合も楽しみです!

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    ボッコちゃん (月曜日, 13 8月 2012 10:09)

    オリンピックの放送も南米選手中心なのでなかなか日本の情報が入りません。なでしこの決勝戦は放映されました。スポーツ観戦にも人それぞれなのねとブログを読んでの感想。重量挙げ女子や砲丸投げ女子の立派な?体格にただただ関心したり、新体操を見ながら体の柔らかさに同じ人間かと不信感をいだいたり。痩せていても欧米人は肩幅があるわと思ったり。少しズレてる私です。お仲間?

  • #2

    nana (月曜日, 13 8月 2012)

    ボッコちゃん、こんばんは。
    本当にオリンピックのレベルになると、この人は本当に人間なのかしら?と思うような選手が沢山出てきますよね。秒速12メートルとか…。

    そうでなくとも、世界中から人が集まるので、人種や民族の違いが観察できて、興味深いです。骨の曲がり方、頬骨の出方、筋肉のつきかた、歩き方などなど。…私たちはお仲間のようですね。

    黒人の選手は後頭部がぐっと出ている人が多く、女性だとその頭の形が引き立つようなヘアスタイルで決めていたりもします。一番かっこよかったのは、アメリカの女子バレーの選手でした。