塗装屋さんごっこ?

我が家は今、工事中。家の周囲には足場が組まれ、ものものしい鎧をつけたような格好になっています。

屋根の洋瓦は、塗装屋さんが汚れを落として塗り直してくれたので、くすんだ焦げ茶色だったのがうそのよう。黒光りし、新築のように堂々としていて、なんだか家が自信を持ち直したかのようです。

 

さて今回、危険な屋根の塗装は塗装屋さんに任せ、その足場をお借りして、外壁は自分たちで塗ることになりました。ずっとこういう足場に登ってみたかった私は、嬉しくって、足場ができた翌日にはすぐ登りました。

そして、塗装を手伝うことになった最初の日。

 

足場を“平気の平左”ですたすたと歩いていき、塗装屋さんに声をかけると、塗装屋さんはひどく驚いた様子。目を疑うようにまばたきし、しばらく絶句。

信じられないもの、たとえば珍獣にでも出会ったかのような反応です。作業着で足場をすたすた歩き、「さーて、壁を塗るぞー」みたいな若い女性は、それはまぁ、珍獣かもしれませんが。

 

塗装屋さんはしばらくして我にかえり、「こわくないんですか」と訊ねてきました。

その時立っていた場所は3メートルくらいの高さで、足場の幅も広いところです。

「別に怖くはありませんが」と答えましたが、あまり何度も訊ねられるので、

“本当は怖がらなくてはいけなかったのかな” ”私って、もしかして、なんかおかしい?”と逆に心配になるほどでした。

しかし、塗装屋さんは、私が本当に怖がってないとわかると、「大したもんだ」とほめて(?)くださいました。

 

汚くなったところや痛んだところをサンダーで削るのは力が要るので、私の役目は、掃除と塗装。木の粉をほうきで払い、雑巾で拭き、塗料を塗ります。難しくはありませんが、足場に乗っての作業なので、何かと気を使います。

 

幸いにも、塗装を始めてから、好天続き。今朝もいいお天気でした。

塗料と刷毛を片手に、棒を避けたり跨いだりしながら、足場を登っていきます。子供の頃遊んだアスレチックのようですが、私にはこっちの方が面白いみたいです。

まだ空気は冷たいけれど、すがすがしくていい気持ち。冬はつとめて、でしょうか。

高いところを塗ろうと顔を上げたら、雲ひとつない青空に気がつき、得した気分になりました。

 

高いところに登って、地上よりちょっといい空気を吸って、空を身近に感じながら作業をするのもいいなぁ、と素直に思いました。私には塗装屋さんも結構、性にあっているのかもしれません。そういえば先日「大したもんだ」とほめてもらったんだっけ。でも、あれはまだ作業に着手していなかったときの話。

実際に塗装をしてみて、思い知らされたことがひとつあります。それは(登るのはともかく)、仕事の「完成度」においては、私などプロの足元にも及ばない!ということ。

 

余計なところにつけてしまった塗料のシミを見やり、“これを見たら「大したもんだ」は撤回されちゃうかな”とため息をつきました。