クリスマスマーケット

お店の外観
お店の外観

クリスマス(12月25日)まで開催中の、六本木ヒルズのクリスマスマーケットで働いています。(これを目当てにして訪れるには拍子抜けしてしまうかもしれない、小さいマーケットですが、ヒルズでショッピングするついでに寄るには、楽しめるかと思います。)

 

私がいるのは、ドイツに本店がある、木の飾りやおもちゃのお店です。

売り場の面積は小さいのですが、棚と言う棚、壁という壁が、商品でぎっちりと埋め尽くされています。

くるみ割り人形、香炉になっている木の人形、ツリーに飾るオーナメント、ろうそくの熱で回る木の飾り……扱っている商品が夢のあるものばかりなので、売り子をしていても楽しいです。

 

 

それからもうひとつ。お客さんにもいろいろなひとがいて、それがまた楽しいのです。

 

「ツリーは持ってないし、何も買う気はなかったんだけど」、と言いながらひと目ぼれしてしまったオーナメントをひとつだけ抱えて買っていく会社帰りらしい女性。

 

彼女があれこれと商品を選ぶ間は黙っていて、会計の段になって「これをクリスマスプレゼントにするから」と財布を取り出す若い男性。スマートにいきたいのに、照れてうまくいかないところがなんとも等身大のその人らしい感じ。

 

まだまだお店を見ていたいのに、彼氏に置いていかれてしまい、慌てて追いかけて行った……と思ったら無理やり彼氏の腕を引いて戻ってきた若い女性。引っ立てられてきた男性の目には “まぁ「付き合う」っていうのには、こういうのもついて回るんだよな”、とでもいうような諦観さえ浮かんでいます。

そういうカップルもいるかと思えば、デートで来た時にはさっと見るだけにしておいて、後日もう一度女性がひとりだけで来店し、じっっっくり見ていくことも。

 

「これ、喜ぶかなぁ?」「これとこれ、どっちの方がいいと思う?」と娘や姪っ子への贈り物に判定を求めてくるおじさんやおばさん。乙女心は乙女に聞けばいい、とお思いのご様子で、たいていおすすめした通りのものを買って行かれます。

でも、自分の好みがあまり一般的でないことをよーく知っている私は、“一般的な若い女の子”を一度頭の中で想像してから答えるようにしているのですがね。

 

「ひとつだけ買ってあげる」と言われ、おおはしゃぎで飾りを手にとり、幸せそうに迷っている女の子。が、ほほえましそうに見守る両親を振り仰ぎ、上目づかいで言うのです。「ね、ほんとにひとつじゃなきゃだめ?」

“ダメで元々だけど、もしかしたら…”という計算が見えるようです。親御さんと一緒になってほほえましく見守っていた私としては衝撃的。

 

魅せられたようにぼうっとして、値段も見ずに、高い商品をぽんと買ってしまうおばさま。万が一にも、帰宅し、我に返って後悔なさったりしたら悲しいので、”どうかこの幻惑がせめて今年のクリスマスくらいまでは続きますように”、と祈りつつ商品をお渡しします。

 

プレゼントにぴったりのものを見つけたのに、ちょっと予算オーバーだったのか。財布の中を睨みながら、「お父さんのためなら何でもするの!」と呟き、自分を納得させようとしているらしい女の子。

(何でも、とはすごいなぁ。大きく出たものよ!と素直に驚きました。)

 

ポケットに両手を入れたまま静かに売り場を一巡し、つと戻ってきて「これ、ください」という中年の男性。(奥方への贈り物と見た。)

 

店番をしていると、この世には本当にいろんな人がいるのだなということがよくわかります。でも全然違う個性を持つ人たちが、なぜか同じ商品を選ぶのかが謎にも思えてきます。こんなにいろんな人がいるなら、それぞれ全く違う商品をいいと思っていいはずなのに、やっぱり人気商品は人気商品だし、不人気商品は不人気商品なのです。妙なことです。