フィクション万歳

どうも、歴史小説というものが苦手です。いくつか読んではみたものの、なんだか作品世界に入り込めないのです。

実在した昔の人を登場人物とするからには、どうしても史実に基づいたこと意外のことも描かなくてはならないことがある、とわかってはいます。でも、「史実にはないが、近くに滞在してたから、このひとに会っていてもおかしくないだろう」、「このあたりの名物だからきっと食べただろう」などと作家の創作の手が見えるような場面に差しかかると、作品世界に浸っていたはずなのに急に醒めてしまって悲しくなります。

(作家の顔がちらついても気にせず楽しんでしまえるのは、いまのところ塩野七生さんの本くらいです)

日記や手紙が大量に残っている人物などは、その人となりが掴めるので、どの作家が書いてもわりと似通った人物像になる傾向があるようです。でも、同じ人物を主人公にした歴史小説をいくつか読むと、ある本では豪放磊落な性格、ある本では知的な策士、ある本ではやるときはやるけど普段は品がない男、というようなことがあって参ります。

 

そんなわけでもうこのジャンルはいつかもっと時間ができて、寛容にもなったとき(つまりおばあちゃんになったときに)まだ読みたかったら読もう、とあきらめました。

そして最近、フィクションなら大丈夫なのだということに遅まきながらも気がつきました。そういえばパール・バックの「大地」だって歴史物だけど、全く気にならなかったな。あ、あれはフィクションだからか!と。

 

時代小説は読みたい。生き生きと描かれた昔の庶民の生活を、現代と違う価値観とことばをもつ人々をもっと見ていたい。そう思っていたので、フィクションならいいのだと気付いたときの嬉しさといったら…!

今は手始めに、浪人が主人公のシリーズを読んでいます。1~2巻まではただの用心棒の仕事にちょっと人情が絡んだ、剣豪のお話といった感じで物足りませんでした。ところが、主人公が浪人となるきっかけとなった事件は実は巧妙に仕組まれた陰謀だったことが分かってきてから面白くなってきました。2巻でやめずに読んで進めてみてよかった!

ちなみにこのシリーズは36巻くらいまで出ており、まだ続いているそう。わりにすんなり読める軽さなので、どれくらい長くても私は構いません。冗慢にさえならないなら、こういうシリーズ物は追いかけていく楽しみ(スリル?)があるので、大歓迎。わくわくします。