短期でアルバイトをしました。え、なんの仕事かと?…絶対に当てられないと思います。
実は、農園で野菜の苗を作る仕事です。
ナスやトマトの接ぎ木、キュウリやスイカの挿し木、花の挿し木などなど。
もともとガーデニングが好きなので、向いているかなと思って始めたのですが、そのとおり。
単純作業が多いけれど、工業製品の検品などと違うのは、相手が植物だということ。
機械で大量生産されたクローンのような製品と毎日向き合っていたら、『モダン・タイムス』のチャップリンのようになりそうです。
でも、植物は同じ品種のものが山と積まれていても、まっすぐだったりひんまがっていたり、小さかったり伸びすぎていたり、細かったり木化していたりと、どれひとつとして同じものがありません。しかも透き通った緑色に和み、ほんのり青くてあまいにおいもします。
接ぎ木した苗が大きくなっているのを見ると、おお、と嬉しくなるし、うまく付かなかったのがあると聞くと、ああ、とがっかりします。
相手が生き物だとこうも愛着が深くなるものかと思います。
仕事の話をすると「なんと健康的な!」と言われますが、もっと健康的なのは、通勤に自転車を使っていること。自転車でも行けなくはないし、と思って通い始めたのですが、これがなかなか楽しい。
近くにサラブレッドがいる牧場があるので、毎朝前を通るたびに4頭の馬に会うことができるのです。中に足先だけ白い馬がいて、私は「ソックス」と名付けました。
ソックスが、他の馬の毛づくろいをしたり、干し草を食べたりするのを横目に見ながら、馬草のにおいのする牧場を通り過ぎるのです。
つくづく、馬は美しい動物だなと思います。
また、自転車で走ると小さなことによく気がつきます。
今日ジンチョウゲが咲いた、初めてうぐいすが鳴いた、キジが鳴いた、こんなとこに祠があった、というような車では見逃しがちなことに。坂ばかりできつい通勤コースですが、そういう楽しみがあったので自転車で通い続けることができました。
結構楽しかったアルバイトでしたが、今日が最終日。明日からは個展の準備に忙しくなりそうです。アルバイト先で知り合った方たちも、個展に来てくださるので気合が入ります。
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