水彩絵具のちがい と、絵具の思い出

ニセアカシア(透明水彩)
ニセアカシア(透明水彩)

今日はほぼ一日中雪でした。3月なのによく降ること!

 

 

さて。よく「透明水彩ってなに?」という質問を受けるので、この場を借りてご説明したいと思います。

まず、小学校の図画工作などでおなじみ、水彩絵具と言ってイメージされるあの絵具。これは「不透明水彩」というものです。

1、色を塗り重ねると、下に塗った色が塗りつぶされる

2、色を混ぜるとにごりやすい

3、(ある程度)厚塗りもできる

 

という特徴があります。これに対して、透明水彩は

 

1、色を重ねても、下の色が透けて見える

2、発色がよく、にごりにくい

3、薄塗りに向く

 

というのが特徴。植物を写実的に描くなど、微妙な色の違いや細かい描写が必要とされる

ときには、透明水彩がよく使われます。

遅くなりましたが、“WORKS”に植物画の画像をアップしました。どれも、透明水彩で描いたものです。へー、これがそうなの…とでも見ていただければ嬉しいです。

 

 

 

今書いていて、小学校で使う水彩絵具のセットは色がかなり偏っていて、子供ながら納得がいかなかったことを思い出しました。しゅいろ、あお、きみどり、みどり、ちゃいろなどが、なんとも生っぽい色で使いにくいのです。

 

こどもはモチーフを見て、使う色を決めます。だいたいは先入観に従って、空はあお、木の幹はちゃいろで葉っぱはみどり。

もうちょっとよく見てごらんと言われると、それが微妙な色だったとしても(ほとんどの色はそうですが)、その12色の中でいちばん近い色に置き換えて、その色一色で塗ってしまいます。太陽はあか、草はきみどり……そんな子供のために、「はだいろ」なる色もチューブで売っているほどです。結果、絵を並べてみると、平面的でビビッドなものばかりということも。しかも、みんな同じ色を使うから絵も似てしまうのです。

そういう絵がわるいなんて言えませんが、そういう絵を描きたいわけじゃないのにそうなってしまうというのは、ちょっと残念。

 

日本の子供たちの絵を変えるには、まずは絵具の色を増やし、いい色を入れること。そして色の作り方を教えることがぜったいに必要だ!

と、幼いながらナマイキにも息巻いていた記憶があります。

 

当時、学校で使う水彩セットの中で私が毛嫌いしていた色がひとつ。それは「ちゃいろ」。

木の幹も、地面も、動物もあの色で塗った途端にうそっぽくなってしまうのが、とても許せなかったのです。「こんなちゃいろの色をした動物なんているもんか!」とちゃいろをけなし、せっせと色を混ぜて焦茶や薄茶を作っていました。

 

「あんなちゃいろの動物なんていない!」そう思いこんだまま高校生になった私は、韓国の市場であるものを見たのです。頭のてっぺんからつま先へと衝撃が駆け抜けました。

頑丈そうな檻に入れられて売り出されていたのは、ドーベルマンのように引き締まった体をした犬。韓国でなべ料理にされていることは知っていましたが、犬というイメージからかけ離れ、獰猛な「けもの」にしか見えない「赤犬」は、全身がなんとあの「ちゃいろ」をしていたのでした。